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『傲慢と善良』

やふぅー٩( 'ω' )و
今回は本棚の1冊を紹介します。


辻村深月著 『傲慢と善良』 (朝日新聞出版 、2022)


既視感溢れるタイトルで、気になってはいても購入をためらい。
やっと買ったら積読となっていた本。


既視感については、ネットで調べれば出てきます。
例えば、これら。


実際、小説内でバッチリ引用されています。

超絶ざっくりあらすじ

婚活をする2人の男女。
結婚を間近に控えたある時、彼女が失踪。
以前からストーカー被害を訴えていたこともあり、
彼氏の視点で物語が進む。

警察に行くも事件性が低いとみなされる。
彼女はどういう人だったのだろうか?
地元や職場、それまで婚活で出会った相手や彼女の姉とも協力し合う。

第二部から彼女の視点で物語が進み、エピローグ。

感想

結婚や婚活が主軸にありつつ、それによって露わにされる人の本性。
「高慢」と「傲慢」の意味の違いって何?と、数年前にきいたことを急に思い出した。

さて。
この本には、たくさんのテーマがある。

婚活、現代の恋愛観や結婚観。
親からの抑圧、モラハラに近いものだったり。
厳しく育てられた”良い子”ほど、大人になってから苦労すること。
結婚願望の先や、生き方を持っている人とそうでない人。

結婚をしたい、誰かの願いを叶えたい。
その時に、自分の思いがそこに完全にないかと問われたら、やはりある。
人のいかなる言動に、完全なる良心はないという。

自己肯定感低いと自分で思い、他者からも言われているけど、
実は自己愛がめちゃくちゃ強いって。
人間は本当面倒臭いなって思う。
自分のことでもある。

本書を読んでいて、本気で途中まで彼氏と同じくストーカーを信じてた。
でも、そうか。
小説とは、他人事なのでキャラクターに対して本気で考えなかった。
現実でそんなことがあったら、相手が何と言おうと警察に連絡するだろう。

彼氏側にも彼女側にもイライラしながら読んでいたのだが、
イライラピークは彼女視点になったところだ。
読み進めていくと、どうしたら良いのか分からない気持ちになった。
どうしようもない気持ちになったのは、己の自己愛を突きつけられるからだ。

全き善良が人の言動に不可能であるなら、
高慢であることや傲慢さはなくなって欲しい。
いや、せめて高慢さや傲慢さに気付けるように。

生きづらい世の中に生きている人は、それゆえに変化球ばかり自分自身にも投げるんだろう。
おかしな世の中で生きていくためには、まともに生きている方がおかしくなりそうだ。
何重にもマスクをつけて、自分自身でさえ、その本心に気づけない。
知らない間に他者を傷つけ、己の首を絞めることもある。

本当にそうか?
お前、そんなに正しいんか?
それとも正しいと思い込んでいる自分か?


こういうことを考えることを含めて、この本は面白かった。
そして、何度も読み直したい。




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