本を読む本-2

要約『本を読む本』

先日、初のペア読書に挑戦した記事を書いたのですが、

その記事をペア読書発案者のそやさんが読んでくださり、おすすめ本のリプをくださったので、早速ポチって読んでみました。

残念ながらKindle版がなかったので、物理本で。

3行まとめ

・現在でも使われている読書法が既にいくつも紹介されており、全ての読書術の原典とも思える本。80年前に出たとは信じられない

読書という行為そのものよりも、読むべき本を見分け、分析的に本を読み、構造化された知識を得ることに主眼を置いた本。

・最後に提案される「複数の本を相互に紐付けながら、あるテーマに関する主張を整理し、考察を積み重ねていく」シントピカル読書は論文執筆の過程そのもの。というわけで大学生にもおすすめ。

要約

この本では、本を表面的ではなく深く理解できるような読書法を紹介しています。

読書のレベルとして以下の4つを定義しており、下に行けば行くほど高度で複雑な読書法となります。各レベルとその概要は以下の通りです。

初級読書→表面的な読書
点検読書→品定めのための下調べ読書
分析読書→分析的に本を読み込む読書
シントピカル読書→あるテーマについて複数の本を紐付けながら考察する読書

ここからは、読書の各レベルについて解説していきます。

初級読書

初級読書は、読み書きができれば自然とできるようになる「文章に書いてあることをそのまま理解する」読書のことです。

点検読書1

点検読書1は、読もうとしている本が時間を割いて読む価値のある本なのか品定めするための読み方です。

点検読書1では
表題や序文から、本の取り扱う内容や分野
目次から、本の構造
索引から、キーワード
カバーにあるうたい文句から、論点

推測し、じっくり読む価値のある本か否かの判断を下します。
じっくり読む価値がありそうだと判断すれば

重要そうな章をよく読む(特に冒頭と章末)
ところどころ拾い読みする

といったことを行い、更に深く分析的に読む必要があるか判断できるようにします。

点検読書2

点検読書1で、読もうとしている本の構成や主な論点が頭に入ったので、点検読書2では通読することだけを念頭に置き(途中で気になるところがあっても一旦は脇に避けておき)、表面的に読みます。
これで、本の構成や主な論点に加えて、全体の把握ができたことになります。

分析読書

分析読書は、対象となる本を徹底的に読み込み、自分の血肉とする読み方です。

分析読書では、読書を以下の三段階に分けて進めていきます。
第一段階 概略をつかむ
第二段階 内容を解釈する

第三段階 本の内容を批評する(またそれを通して著者と対話する)

分析読書の各段階においてするべきことは規則(=ルール)として定義されており、そのフォーマットに従って各段階を進めていくことになります。

第一段階 概略をつかむ
 第一の規則 
  今読んでいる本は分類上、何に関する本かを知ること
 第二の規則 
  本のプロット、本筋を2-3行でまとめられるようにすること
 第三の規則
  全体がどのような部分から構成され、どのように配置されているか
  示せるようにすること

 第四の規則
  著者がどのような問題から本を書いたのか知る

第二段階 内容を解釈する
 第一の規則
  読者が著者と折り合いをつける(=著者の言葉の使い方を理解する)
 第二の規則
  命題を見つける
 第三の規則
  論証を述べているパラグラフを見つける、または
  論証を構成する命題が含まれている一連の文を集めて論証を組み立てる

 第四の規則
  著者の解決が何であるか検討すること
  (= 著者が解決しようとした問題のうち、何が解決し何が未解決に
    終わったか)

第三段階 批評
 第一の規則
  まずは「この本がわかった」とある程度確実に言えること。
  その上で、賛成/反対/判断保留の態度を明らかにすること

 第二の規則
  反論はけんか腰にならず、筋道を立てて行うこと
 第三の規則
  反論は解消できるものだと考えること

著者が2人とも大学教授であるためか、分析読書は「日常的に論文を読み、論考を深める人の読書術」であり、対象とする本も論文のような論理構成がかっちりしているものを想定しているという印象を強く受けます。

シントピカル読書

シントピカル読書は、あるテーマや問題について深く研究を行う際の下準備にも使われる読書法です。

シントピカル読書では、最初に追求するテーマや問題を決めます。
テーマを決めたら、図書館の目録、人からのアドバイス、書籍の文献一覧表などを元に文献リストを作成します。

次に、集めた文献を点検読書し、それぞれの文献から自分の要求に最も密接に関連した箇所を見つけ出します。

追求するテーマに関連する箇所の拾い出しが終わったら、どの文献にも依存しない読み手自身の言葉で全ての書籍を理解するようにします。
分析読書では著者の言葉の使い方を受け入れていましたがシントピカル読書では、各々の著者の言葉の使い方を理解した上で、それを読み手自身の言葉で理解するようにします。

ここまでの作業で、追求したいテーマに関連する記述がストックでき、それを自分自身の言葉で理解できた状態になっているので、テーマの中で最も知りたい内容を知るための一連の質問を立てます。

質問を立てたら各文献の主張を整理し、論点を明確にしていきます。
質問と論点が整理できたら、論考を分析し、質問を解決しようと試みます


シントピカル読書は例えなしでの説明が少し難しいので、興味のある方は『本を読む本』を読んでみてください。
シントピカル読書はまだやったことがないのですが、アカデミックな研究に限らず、あるテーマについて集中して掘り下げたい場合には有効そうだと感じられました。

感想

学校教育のせいなのか、多くの人は本を頭から通読することに固執しがちかと思います。僕もそうでした。

ただ、それが読書をする上で重要なことではなく「いかに本(やそれに類する構造化された情報源)から知識・概念・情報などを深く、効率的に搾り取れるか」ということが重要ということを教えてくれたので、良い本でした。

また、「目次読みすると良い」などと言われていますが、「何のために」「どういった作業の一貫として行うべきか」といったことに言及している読書法は多くないため、そういった意味でも良い本でした。

おまけ

今回は、第1部5章「積極的な読者になるには」で勧められている方法に従い、iPadアプリのGoodNote5でメモを取りながらこの本を読みました。
👇はそのメモです。
この本では、本に書き込みながら読むことを勧めていますが、「本の余白」という物理的制約に悩まされれず、自由にメモを使うことができるアプリのほうが現代には合ってるかと思います(更にアプリであれば、後から文字をドラッグアンドドロップで移動などもできますし)

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