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二人暮らし前夜

7年付き合った恋人と別れて1ヶ月。
明日から別の大切な人と一緒に住むことになる。



この1ヶ月間が目まぐるしすぎて、まだ実感が湧かない。明日の今頃にはこの部屋を空っぽにして、二人で決めた新しい家で眠る想像がつかない。



彼はこの時に書いた人。

この人に会えたから東京に来てよかったー夜空はいつでも最高密度の青色だ|おと (note.com)


東京で消耗しながら半分死んだように生きていた自分を救ってくれた人。恩人であり、親友。人として大好きな人。であるが故に、二人の関係に男女としての性を持ち込みたくなかった人。


…のはずが、この半年、自分の感情に本当に色々な変化があって今は恋人として新しく関係性を育てている。


埋まらない不安や欠落を抱えた彼らが出会って、”暮らす”というよりは”生き延びる”ような毎日の中で、何かが劇的に変わるわけではないけれど、何となくこの人といるとこの街で生きていける気がする、そう思うようになるまで少しずつ、少しずつ、関係が変わっていく。


以前のnoteでは”暮らす”というよりは”生き延びる”ような毎日、と映画の主人公達について書いたが、まさに文字通り、”生き延びる”毎日を潜り抜けた今、私は明日から彼と”暮らし”を作っていく。
そのことに対して今は楽しみな気持ちが半分、不安な気持ちが半分。でも、彼と出逢って、この人がいるならこの街で生きていける、と思った自分がいて、その結果として今の場所まで来た。

そのことがとても不思議で、でも自然な気もする。


ぼーっとしている間に物事が驚くほどスムーズに進んで、ただ流れに身を任せるだけでどんどん決まっていった。
いや、もちろん家を探すのも内見に行くのも契約をするのも電気ガスを選ぶのも、ひとつひとつで見るとこまごまと色々やっていたんだけれど、振り返るといつの間にか、ここまで来たような感じがする。


 まだぴんとこなくてぼうっとしているあいだに、引っ越しだとか、住民票だとか、電気ガスだとか、オーディオをつなぐとか、めんどうなことはみんないつのまにか終わっていた。いつのまにかと言ってももちろん手分けして自分たちでやったのだが、ほんとうに外山くんと暮らすの?と思って目の前のことをやっているうちになんとなく過ぎてしまったのだ。
 気づいたら新しい暮らしが始まっていた。

『ミトンとふびん』吉本ばなな


まさに、こんな感じだ。
初めて読んだ時はこんなことってある?と思っていたけれど、実際に、あった。


ほんとうに彼と暮らすのか?

今でも半分夢の中のような出来事に感じている。

そもそも、親友だった期間の密度が濃かった故に付き合っていることに対しても現実なのか?とふわふわした気持ちになることもあったくらいで、そのままあれよあれよと気づいたら明日から同じ家に住むことになっていた。



明日から私達はどんな暮らしを作っていくんだろう。私達の関係はどう変わっていくんだろう。きっと、楽しいこと嬉しいことだけじゃなくてうんざりすることもがっかりすることもある。


それでも、その度に、何回でも思い出したくて今の気持ちを書く。


彼のおかげで、東京での生活に希望が持てた。
この人が歩んでいく人生の先を見せてほしいと思った。
隣じゃなくてもいいけど、でも隣で見れたらもっと楽しそうだなと思った。
毎日家に帰って会えたら幸せだと思った。
その日あった何でもないこと沢山聞いて、話したい。
一緒に眠って一緒に目覚めたい。
もっと沢山の時間と考えと思い出を共有したい。
辛い時の支えになりたい。



そんなわけで、二人暮らし、始めます。











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