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一粒のチョコレイト 【詩】

それは 
ある年のバレンタインデーのことだった
チョコをあげたい人が いた

「これ、食べる?」
何気ない口調で 
あなたに差し出したのは
封を開けたアーモンドチョコのケース
自分のおやつの残りだ

「ありがとう」
とあなたは一粒とって 食べた

それがバレンタインデーでなければ
単なるおやつのおすそ分け
その時の私には 
それが精いっぱいだった

けれど あなたは 
ちゃんとわかってくれていた

「今年は誰にもあげなかったな」
といった私に
「僕もらったよ」
と言ってくれた

うれしくて涙が出そうだった
なのに 
とぼけて知らないふりをしてしまった
すぐに後悔した
でも 素直になれなかった 
子供な大人

あなたの心に届いた 
一粒のチョコレイト



イラストは中川 貴雄さんからお借りしました。ありがとうございます!



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