わたしは人間
6月13日、カブトムシの餌を買った
カブトムシを逃がしに行ったのに、カブトムシを連れて帰ってきた
「おせわしたい」
枯れ葉の絨毯の上、何度茂みに向けて置いても、
こちらに向かってくるカブトムシに、そう我が子が言ったから
カブトムシは何も言わない
言っていたとしても、人の言葉でできた世界を生きる
わたしもまた、何も言うまい
生命の異なる指先を生きる
あなたはカブトムシ
わたしは人間
自分の書く文章をきっかけに、あらゆる物や事と交換できる道具が動くのって、なんでこんなに感動するのだろう。その数字より、そのこと自体に、心が震えます。