【2. 露出】

12月中旬から年末にかけて、市内の中心部では光のページェントというイベントが行われる。
定禅寺通の欅並木がオレンジ色の電飾を纏い、光のトンネルに包まれた遊歩道は、とても幻想的な空間に変わる。
特にクリスマスの時期、その中でもスターライトウインクの1分間は、数多くのカップルや家族連れ、観光客が、その瞬間を見逃すまいと立ち止まる。
「あっ!消えたっ!」
「ちょうどウインクだね…」
それは、歩行者に限ったことではなく、通行中の車両も全く同様だ。
たとえ警察が誘導していようとも、微塵も動くまいと拒否する先行車群のお陰で、一瞬にして特等席とも言える渋滞区間が出来上がる。
60…59…58………3…2…1…0
そして、どこからでもなく沸き上がる、拍手や歓声。
「綺麗だね…」
「うん………綺麗だよ…」
彼はキスをした。
そして、ようやく動き出す車列。
2人はドライブ中、その渋滞に囚われていた。
彼女は、普段通りの性装のまま、ずっと木々を見上げ、
~それを見つけたカップルは、
永遠の愛を約束される~
という噂の、ピンク色の微かな灯を捜していた…。

野外放尿するようになってから、2人はより大胆になり、人通りが多くても、そして陽射しの下でも露出ドライブが出来るほどになっていった。
更には、夜の野外や屋内での露出も楽しんだ。
その際の基本衣装は、薄手の黒いワンピースとチョーカー。
冬場はその上か全裸にダウンのロングコートを羽織る。
但し、車内では年中チョーカーのみ。
時々、+アイマスク。
その格好で野外、そして屋内での露出へと経験を積んでいく。

まずは自販機で肩慣らし。
それは、露出道を極める誰しもが通る王道なのかもしれない。
彼女は車内から“そのままの姿”で降り、自分の分と彼の分を買って戻る、という基本中の基本。

公園デビューは、市内に3基ある電波塔の麓にある、夜は人気のない小さな所。
最初はアイマスクを付け、彼に手を牽かれながら全裸で遊歩道を一周。
何度もそこに足を運び、馴れてくるとアイマスクは不要になった。
時には、遊歩道を照らす外灯のポールに手錠で拘束され、立ったまま彼に責められることも。
また、そこはカップル御用達の場所でもあるため、散歩中に車が入って来ることがあった。
ワンピースは車内に置き去りのため、逃れようはない。
「どうしよう…汗」
と彼女はしゃがみこむ。
とりあえず、彼は着ていた上着を彼女の肩に掛けた。
「良かったぁ…帰っていったね…」
そこの駐車場は狭く、先客がいるとわかったカップルはUターンして出ていく、というのが決まり事のようになっている。
ただ何にでも、“例外”は付きものだ。
…気にしないのか…
…見せ合いたいのか…
カップルの車が停まって、Hを始めた時も2人は散歩中。
彼の陰に隠れながら何とか車に戻った…。
ある時はカーSEX中に、覗き屋さんが車のすぐ後ろから覗いてきた。
彼がその事を伝えると、気にする素振りも見せず、
「見せてあげるぅ」
と彼の上で激しく腰を振る。
野外とガラスを隔てた車内とでは、その時点では、彼女の羞恥心の大きさにかなりの違いがあったのだろう。
しかし、それらの出来事よりも、もっと驚いたハプニングがある。
やはりそこでカーSEXしている真最中に、パトカーが巡回に来たことだ。
「ヤバ…!」
気付いたら、ふたつ隣の駐車スペースにいた。
2人とも焦ってしまい、服も着れずじまい。
彼女は下に敷いていたバスタオルを掛けただけ。
彼はジーンズを下半身にただ乗せただけ。
そこからは当然、お決まりの
“ガラスノックからの免許証拝見”
その警官は、まるで行為の余韻を嗅ぐ犬のように身を乗り出し、2人の姿を覗き込んだ。
そしてニヤけながら
「お楽しみ中にごめんね~。ここ、夜は危ないから気を付けてね」
と言って去っていった。
…しょっちゅう来てるけど?…
…危ないやつなんて来ないよ?…
…あ、覗き屋さんのこと?…
…もしかして、自分達のこと?…
…まぁとにかく、散歩中じゃなくてほんと良かった…
と、2人は安堵した。

別の公園では、ベンチや遊具、男子トイレで戯れ合った。
時には誰もが子供の頃、虹を作って遊んだ水飲み場の
【あの蛇口】
へと彼女は跨がった。
「硬くて、冷たい…気持ちいいかも…」

津波によって壊滅した町にあったが、今となっては存在しない場所、ある海岸の防潮堤に2人は来ていた。
数百メートル沖では、何かの養殖棚か釣りでもしているのであろうボートが浮かんでいる。
目の前の海に向かって彼女は脚を開き、素肌を晒し、大きな喘声をあげる。
飛び散った彼女の潮は、海へと流れ、波に飲まれた。
ふと沖へ視線を向けると、ボートは元いた場所よりずっと近くに停泊していた。

夜は人通りがあまりないテニスコート前の道路は、出会った頃によくカーSEXした場所で、2人のお気に入りの場所でもある。
その向かい側にある公衆電話のBOXの中で全裸の彼女は自淫した。
すぐに彼女の愛液と潮とが溢れ出し、脚元のコンクリートには大きな染みが出来る。
日中は営業車、夜はタクシー運ちゃんの休憩場所でもあり、近所の住民のランニングコースにもなっていて、白昼堂々と彼に弄り廻されている時、そういった方々が通れば、見られるのも当然である。
コンコンとドアを2回ノックされ、
「見ててもいい?」
と聞いてくれたご丁寧な自転車の男性客もいた。

山を切り崩して出来た新興住宅地の一画には、洋風のお城のような佇まいのショッピングセンターがある。
当時、その敷地内の見晴らしのよい場所には足湯があった。
休日の日中だったため、流石に家族連れが多いこともあり、彼女は全裸での入浴を諦めて、腰まで浸かるだけにした。
帰り際、まだらに濡れたワンピースは腰下だけに纏わり付き、ほのかに透けて卑猥に見えた。

露出プレイ中の別のカップルに彼が偶然遭遇した場所、その近くには高速道路に掛かる歩道橋がある。
50mも離れていない所には高速下を潜る道があるため、これまで誰かが通る様を見たのは皆無だ。
まるで
“露出するためだけに造られたようなもの”
と言っても過言ではない。
…高速道路+歩道橋=全裸での露出+放尿…
彼がそこを仕事で通る時はいつも、そんなこと考えていた。
ただ1つ残念なのは、手摺りの下には半透明の板が張られているため、ハッキリ見える訳ではないこと。
しかし、普段は人のいない歩道橋に日射しを受けながら上半身裸の女性が立っていれば、自動的に下も想像できる筈。
あくまでも半透明…色や輪郭は認識可能だ。
上り車線の車に向かい合う位置で、手摺りに掴まりながら、そして少し小さめの胸を彼に揉まれながら、立ったままの彼女は放尿した。
かなり我慢していたせいか、勢いも量も半端がない。
コンクリートに跳ね返った滴は、通過する車のフロントガラスを汚してしまったかも知れない。
太腿に飛び散った滴と、襞に染みた彼女の液体は、その場で彼が舐め取り、綺麗にしてくれた。

何件か問い合わせしたアダルトショップのうちの2店舗から
「他のお客様の迷惑にならない範囲でなら…」
と承諾を得た。
2人で一緒に感謝の言葉を添えて店員さんに挨拶し、お客さんの居ないコーナーで軽い露出を決行。
勿論そこでは何度も、お客さんに見付かったことがある。
しかし、ちゃんと見てくれるお客さんはいなかった。
彼女を見るや否や逃げるように立ち去る人、
2人がコーナーを移動する度に、棚を挟んだ位置に陣取る人、
彼女の方を気にするもののチラ見してくれるだけ、
大抵の男はそんな程度だ…。
ただ、全ての男性に共通するのは、その視線。
すれ違うほんの一瞬だけ、
彼女の顔→チョーカー→胸→下半身
で留まることを2人は見逃さなかった。
「お客さんから見つかったらどうする?」
という彼からの問いに、彼女は
「ちゃんと見せてあげます…」
とプレイ前に答えていたのに…。

少し遠出しての温泉巡り。
…温泉で露出するなら混浴温泉…
と誰もが想像するだろう。
だがそれは、少なくともこの地域では誤った解釈であると言わざるを得ない。
というのも、休日平日問わず、サイトで募集しない限りは、まず誰もいないのだ…。
極稀に同じ空間を過ごす客が現れたとしても、大抵は近所の常連と思しき年輩の方々だ。
彼女の好み…というなら話しは別だが、現役を引退されたオジさま、オバさまに見せ付けたところで何の興奮も得ることはできない…。
その為2人はいつも悠々と寛ぎ、戯れあいながら湯に浸かった。
結果、2人が考えた遊びはというと…
その宿の廊下での露出。
床を潮で濡らすのは申し訳ないので、あくまでも露出するのみ。
誰かの足音が聞こえてこない限り、2人の独壇場だ。
それともうひとつ…。
混浴ではない普通の温泉宿でのこと…
「こいづば入りぐじさ引っかげでおがいん。ほしたら、誰もはいてこねがらなゃ。ゆっくりしてってぇ」
(↑の要約 : これを入口に掛けて置いてね。そうすれば誰も入って来ないよ。ゆっくりしてってね)
と、とても優しそうな受付のおばちゃんから『使用中』と書かれた札を手渡された。
お言葉に甘え、教わった脱衣場のドアノブにそれを掛けて、2人は一緒に入っていった。
それを踏まえて、別の宿でのこと。
「じゃ後で…」
とそれぞれの脱衣場の入口を開けた所で、突然彼が
「そっち誰かいる?」
と訊ねた。
彼女は、スリッパの有無とロッカーの籠を見渡し、
「誰もいないよ?ここ…駐車場も全然停まって無いし、もしかしたら誰もお客さんいないのかもね?…そっちは?」
「いない…。一緒に入んない?こっちに…」
「え~、大丈夫かなぁ?………………」
もし、逆だったら110番通報ものなので、2人で入るとすれば、男湯しかない…。
「…………いく」
それもそれで問題ではあるが…。
何度か繰り返すうち、期待通りに他の客が入ってきたことがある。
大抵は、オジサマ…。
普段は眼鏡を掛けている人なのか、気付かれないこともあったし、気付かれる前にこちらから声を掛けて、内緒にして貰った人もいる。
また、ある時は湯上がり後に彼女がバスタオルで身体を拭いていると
「キャッ…」
と小さな悲鳴を上げた。
「あ、すみません…」
オジサマはドアの外の“男湯”の文字を確認している。
「あ、合ってますよ。こちらの方がすみません…」
彼女の着替える姿を見て貰う代わりに、事なきを得た。

「誰もいない混浴温泉」より、
スリルのある『勝手に混浴温泉』
…というかなり危険な遊び方。

2019/03/15更新

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