【5. サプライズ】

赤いチョーカーを身に纏った彼女は、久々のアイマスクスタイル。
彼の指激を受けて、既に何度か満足した彼女の剥き出しの襞豆に、更にピンク色のローターが押し当てられた。
が、なんだか動きが鈍い…。
きっと彼女の中に入れた時、コードを摘まんで引張り出すため、断線してしまったのだろう。
いいところで振動が停止する…。
「また、壊れちゃったね…」
バイブもそうだ。
彼女の膣圧で、それまで何本、破壊したことか…。
少なくとも彼女のベッドの引き出しには、音だけは立派だが、ギアが欠けてウネらなくなったバイブが3本は仕舞ってある。
「途中で買いに行こっか?」
それは、ホテルへと向かう車内での出来事。
勿論いつものように、かなりの遠回りをし、夜のドライブも楽しんでいるところだ。

国道に面するアダルトショップ。
2人を乗せた車は、その駐車場に停車した。
「じゃあ、買ってくるから、そのまま待ってて」
そう告げた彼は、彼女の右手首を掴み、中指が割れ目に添うように誘導した。
「うん…」
という返事が先か、中指が滑り込むのが先か…。
…クチュ、クチュ…
と音が漏れ出し始めた。
彼は車を降り、助手席の横で一旦立ち止まり、彼女の指が動いていることをしっかりと確認した後、店内へと消えていった。
…へぇ~、こんな形のもあるんだぁ…
…遠隔かぁ…結構な値段するんだなぁ…
などと少し時間を掛けながら、アダルトグッズコーナーを見て廻る。
…またどうせすぐ壊れてしまうだろう…
結局は格安のローター、ついでに薄めのゴムを手にし、カーテン付きのレジで清算した。
彼が店を出て、ふと自分の車を見ると、そこには助手席の中を覗き込む青年の姿があった。
彼が店に入る時に、風除室ですれ違った人物だ。
だからといって彼は焦ることなく、ゆっくりと歩いて近付く。
彼の足音に気付いた青年は、申し訳なさそうな顔で軽く一礼し、小声で言った。
「凄いですね。いつもこんなことやってるんですか?」
彼はただ頷いた。
車内に目を遣ると、彼女はイキ疲れたのか、指を下の唇で咥えたままの姿で眠っているようだった。
「それじゃ…」
とだけ青年に告げ、彼が車に乗り込むと、彼女の寝息と微かに鼻を衝く海風のような匂いが漂っていた。
「お待たせ…そのまま着くまで眠ってていいよ」
「ん?うん…」
青年はまだじっと彼女の姿を見詰めている。
彼と青年は互いに会釈した後、車は動き出した。
そこから南へ向かって進み、すぐ左手にあるコンビニに一旦立ち寄る。
彼は適当に飲み物を何本か買ってくるも、その間彼女が起きた気配はない。
再び、車は動き出す。

更に南へ進み、程なくして橋を渡った3つ目の信号を左折してすぐに、目的地があった。
そこは、 2人がいつも利用する住宅街の片隅にあるガレージホテルだ。
「まだ眠い?着いたよ?…はい、どうぞ…」
先に降りた彼が、助手席のドアを開く。
何も身に纏っていない白肌の彼女は手を牽かれ、躊躇することなく全裸のままで部屋へと消えていった。
ベッドの上に座る彼女。
「もうこれ取っても良いでしょ?」
幾らかまだ眠そうな彼女は、アイマスクに手を掛ける。
「だ~め」
両手首を掴まれ、優しく押し倒された彼女は続けた。
「何で?」
「何でもっ…。取ったらご褒美あげないよ?いいの?」
「…ヤダ…」
「今、お風呂入れてくるから…ちょっと待ってて」
そう言って彼は、そっと唇にキスをした。

当然、彼女が思うところは
…え!?何だか怪しい…もしかして…!?…
自分の鼓動が聴こえてきそうな位にドキドキしながらも、彼女は彼が蛇口を捻る間にアイマスクを少しだけずらし、起き上がって室内を見廻した。
…誰もいない…
正直、マジで、かなり、ホッとした…。

その瞬間、
…プルルルル…
普段、滅多に鳴ることのない、部屋のTELが鳴る。
彼女は急いでアイマスクを戻した。
「いいよ、俺が出るから…。もしもし?はい…いいですよ。は~い…」
ガチャッ…と受話器を置く音。
「どうかしたの?」
「宿泊にするか?だって…」
彼は彼女の隣に座り、頬にキスをする。
そして耳…そして首筋に…。
吐息が漏れる。
両肩に触れた手に身体を預けるように彼女は横たわった。
唇は鎖骨を這い、右胸の膨らみを捉えた。楕円の渦を描くようにピンク色の中心に近付いていく。
そっと触れた手が左の胸を優しく包む。
手のひらがその先に触れる度、腰がくねる。
それを抑えるように脇腹を掛け降りた手が腰骨を撫で廻す。
もう一方の手が内腿に触れると、両方の爪先は伸びきり、
…触って欲しいの…
と言わんばかりに、徐々に脚が拡がっていった。
…クチャッ…
という音が、襞と襞の解放を伝える。
その音を聴き逃さなかった手は、音のした場所付近を躊躇しながらも這い廻った。
彼の手によって丁寧に剃られた、なだらかで白く小高い丘の上。
中腹には一筋の川が流れ、泉へと注がれている。
その川に沿って2本の指が下流へと歩き出す。
湧き出す泉の畔に到達すると、再び丘の頂上へと踵を返す。
何度も何度も繰り返されるうち、奥底が熱くなり、全身が性感帯になるような感覚に浸食されていく。
始めは吐息を洩らすような息遣いだった彼女の唇からは、いつしか雌の鳴き声が放たれた。
秘丘をなぞる2本の指にドロッとした感触が走る。
泉から溢れ出た液体が指先に纏わり付く。
我慢していた一番長い指は、その水源を目指し襞の中へと消えていった。
掴まれ、撫で廻され、戯れ廻る手指、そして舌と唇の感触に彼女は酔いしれた。

「今、どこが感じる?」
「全部…」
「じゃあ、一番感じるのは?」
「…クリちゃん…」
「次は?」
「…おっぱい…」
「どっちの?」
「どっちも…」
「どっちも?」
「うん…」
この問答は、決して言葉攻めのつもりではなかった。
矛盾点に気付いて欲しい彼からのヒント…。
「もう一回聞かせてっ。触られて感じてるとこはど~こ?」
彼は彼女の黒髪を解かしながら、再度チャレンジ。
「おま○ことぉ…おっぱいと…」
「あとは?」
「髪も…」
「髪も?」
「…うん…」
「なんか、おかしくない?」
「ない…」
………………。
「そう…?…」
クリを掻き廻す指先、胸を揉む手、もう片方の胸を揉む手、そして髪を撫でる指…
それぞれの手指が順々に自己主張を始め、彼女の身体を弄る動きが激しくなる。
!!
彼女は急に起き上がり、咄嗟に掴んだシーツで申し訳程度に身体を包んだ。
「え!?やっぱ、おかしい!」
「何がおかしい?」
「手が1…2…3こ…ん?やっぱ4こ…!?」
「あたり!じゃあもう目隠し取ってもいいよ」
「マジ…!?…」
彼女は素顔を晒すのを躊躇い、恐る恐るアイマスクを鼻にずらした状態で、定番のご挨拶。
「こんばんは…初めまして…だよねぇ?“彼女”です…」
βくんも頭を下げてそれに答える。
「こんばんは…えぇ、初めましてです。“β”です」
最後に彼も二人に倣って
「こんばんは、“彼”です…」

2019/03/20 更新

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