【1. はじまり】


もう何年も前のこと。

2人が付き合い出した頃のお出掛けというと、食事、買い物、カラオケ、ホテルそれとドライブ。
特に夜のドライブとなると、彼が彼女の体に触れながら…というのが定番。
そして彼女が我慢できなくなると、人気のない適当な場所に停めて…なんてことはしばしば…。
最初はそんな感じだった。

ある夜のドライブ中にお遊びで使い始めたアイマスク。
それから2人のドライブのスタイルは変わっていった。
後ろに倒した助手席の彼女にはアイマスク。
いつものようにボリュームを少し上げる。
それは、ピンク色の振動音と彼女の声を掻き消すための彼のささやかな気遣いのつもりだった。

出発してすぐの片側2車線の国道は、いつも交通量が多め。
時折、並走するトラックがいることを彼女に伝えると、恥ずかしそうに急いでスカートを戻す。
「どうせ暗いんだし、見えないよ?戻しちゃダメ!」
「や~だぁ…」
と駄々を捏ねる彼女。

そんなドライブを続けていたある日、彼は閃いた。
…手錠…
彼女は案外すんなり受け入れた。
倒したシートのヘッドレストに両手を括り付けられたままで、新たな2人のドライブは始まる。
捲り上げられたスカートの中には、何も身に付けていない。
…無駄な抵抗なんて出来ない…
そう悟った彼女は、彼の指先に責め続けられた。
当時、彼女は知る由もなかったが、彼女の露わになった太股の付け根に向け、彼はペンライトの明かりを照射していた。
…この彼女の姿を誰かに見られたい…
そう思いながら、彼は彼女を夜毎に連れ出した。

そんな夜を繰り返すうちに、車が走り出すと彼女は自ら全裸になり、目を覆い、小さな鈴の付いた赤いチョーカーを付け、そんな状況を楽しむようになった。

ある夜、
「立ちションしてくる。その手は休めちゃダメだよ」
そう言って彼は車を降りる。
用意していた予備鍵でエンジンを付けたままドアをロックした。
実のところ、そこは広めのコンビニ駐車場の一画。
水銀灯が彼女の裸体を照らしていた。
彼は何度かカメラのシャッターを切る。
そしてコンビニ店内へ…。
彼の後に続く客に自動ドアが開くと、聞き慣れたチャイムが鳴る。
それなりに車や客の出入りはあるようだ。
お土産にミルクティを買い、期待と不安を胸に車へと戻って来るも、特に廻りには変わった様子は無かった。
…案外、誰も気付かないもんなんだな…
と彼は思った。

“馴れ”というのは恐ろしいもので、回数を重ねる度に2人の車内露出放置プレイは、
公園、道の駅、高速のSA、ファミレス、スーパーマーケット、家電量販店、パチンコ店、ショッピングセンター等の駐車場、
といった、車や人の出入りの多い場所へと活動の範囲を拡げていった。
それらは当然ながら、全く気付かれない筈もなく、隣に停まっていた車がいつの間にか消えている…ということも少なくない。
しかし残念なことに、例え気付かれたとしても、堂々と覗き込まれることは一度も無かった。

ある時、一旦彼女の服を着せてから一緒にコンビニの男性用トイレに入った。
小便器の前に立つ彼女の背後から、彼は茂みのない秘丘を押し拡げた。
ほとばしる勢水の滴が一筋、二筋と脚を伝う。
「垂れてる…」
「そのまま行こう…車の中で綺麗にしてあげるから…」
「うん…」
そして2人は、飲み物を片手にレジへと向かった。
ふと、レジ前から外に目をやると、彼の車そして店内にいる彼ら2人とを、交互に好奇の目で見る男性がいた。
「…もしかして…出しっぱなしだったかも…」
「…マジで…?」
その男性が車内に見付けていたものは、間違いなくサイドポケットの上でそそり立つ、艶やかな黒のディルド。
自動ドアを出てすぐ、その男性とすれ違う。
すれ違い様に彼女を見る男性の目は、全てを悟っているようだった。
確かに…車内の状況と彼女の格好を見れば、誰もが容易に察するに足るだろう。
その一番最初は、単に隠すのを忘れただけだった、
のだが…。

大抵は近場でのドライブとは言え、毎晩のように出掛ければ、車も
…お腹が空いた…
と、オレンジ色で伝えてくる。
深夜、セルフのガソスタという場所は、店内奥のモニター前にしか従業員はいない。
念のため、彼女の姿がカメラの死界になるであろう位置に車を停める。
キーをアクセサリまで戻して外に出ると、CDの曲に混じり、中から漏れ出る彼女の喘ぎ声。
腰下にウネるものを突き刺した彼女を助手席に残し、彼は給油を始めた。
その最中に隣の給油レーンに別の車が入る。
…果して隣まで、あの声は届いていたのか…
それは定かではない。

東北一番の繁華街は歩行者専用道路になっている。
夜でも人通りは多い。
そこに交差する車道がいくつかある。
当然ながら歩行者が最優先。
もし、歩行者が行き交う道のど真ん中で停車したものなら、見付かるのは必至。
肝の据わった2人を乗せた車は、その一方通行の車道へと進入していた。
交差路手前で一時停止。
幸運にも歩行者の通行が途切れた。
左右を気にしながら、ゆっくりゆっくりと横断。
…銀行前までくれば一安心かな?…
ところが車の前には、行く手を遮るように向かってくる男性3人組の姿があった。
…やり過ごしてから追い越そう…
三人は車を避けて左に寄り、そのすぐ横を通過した。
結果、間違いなく見つかったのだろう。
そのうちの一人が他の2人に何かしら大きな声を掛けたのをバックミラーで確認できた。
3人は走って追い掛けてきた。
が、追い付くことは無かった…。

…見て欲しいけれど、見せ付けるほどの勇気もない…
そんな葛藤の日々が続いた。

別の夜のドライブ中。
「オシッコしたくなってきちゃった…」
と彼女。
「じゃあ適当な場所に車停めるから待って……」
彼は人気のない場所に車を停めた。
「着いたよ、さぁ降りて」
助手席のドアを開け、目隠ししたままの彼女の手を取り言った。
「ここで…して見せて…」

別の夜、彼女は同じ様に尿意を催し、車外へ出た。
ただ、最初とは少し違っていた。
それは観客がいること。
彼が、数日前から交流サイトで知り合った、とある誠実な男性と連絡を取っていたことを彼女は知らない。
そして車を停めたのは事前に決めておいた場所。
それは、その男性の自宅近くにある国道沿いのアダルトショップ駐車場。
彼との約束通り、男性は無言で、しゃがんでいる彼女の脚元を覗き込んだ。
…きっと顔に彼女の飛沫が掛かったに違いない…
と思われるほど近くまで…。
「ティッシュある?」
「拭いてあげるね」
「うん」
彼は男性に無言でティッシュを渡し、彼女の濡れた部分を拭いてあげるように目配せした。
…いいんですか!?…
男性は声に出さず、口の動きだけで喜びを伝え、彼の期待に応えてくれた。
彼が彼女にその事を伝えたのは、ドライブを終えて部屋に戻った彼女のベッドの上。
その時、彼女の襞がいつもよりキツく彼を締め付けた。

別の日も、彼女には知らせず、同じ場所で同様に、男性に見られながら彼女は放尿した。
車へ乗り込んだ彼女に
「脚を上にして横になって…」
と彼は伝えた。
本来なら座る所に頭があり、後ろに倒した助手席の上でヘッドレストを跨ぐ様に脚を拡げた格好だ。
既にその格好でドライブをしたことがあるため、彼女には、その言葉だけですぐ通じる。
「こないだのお店の駐車場だよ?こんな格好…誰かに見られたらどうする?」
彼女は恥じらいながら、
「興奮しちゃう…」
そう小声で呟いた。
「見られてるかもよ?自分でして見せて」
そう言いながら、彼は振動する疑似根を彼女に手渡した。
「手伝ってあげるから」
彼は言った。
彼女の胸や秘丘を這う指先。
しかしそれは、彼のものではなく別の男性のもの…。
2人が車に乗り込むと同時にその男性も後部座席に紛れ込み、彼と同じタイミングでドアを閉めた為、彼女に気付かれることはなかった。
彼のものではない手の感触と震動のせいで、彼女がイクのにそう時間は掛からなかった。
気が付くと、下に敷いたバスタオルは搾れるほどの潮を吸収していた。
「…またイッちゃった…」
「ちゃんと、我慢しないとダメじゃん!」
「だって…気持ちいいんだもん…」
「そう言えば、誰かに見られてたら…ってさっき言ったけど、ほんとに見られてるんだよ」
「ウソだぁ…」
「マジ…」
「どこに………!?」
急いでアイマスクを取った彼女は起き上がり、後部座席の男性に向かって意外な一声を発した。
「こんばんは…はじめまして…」

そんなプレイを楽しむようになって、幾度目のことだったろう…
その“男性”は、“男性達”と呼ぶべきに変わっていた。
見知らぬ男性達から、見られる、触られる悦びを知った彼女。
更に大胆になっていったのは言うまでもない。

2019/03/14更新

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?