マトイとマナカ(仮)新作落語

ーーーーーアーチェリー場ーーーーーー

ビュッ ストン(矢が的のど真ん中を射抜く)


「わーーー、まとい先輩 やっぱりめっちゃかっこいい!」


タオルで汗を拭きベンチにこしかけるマトイ(高校二年生)
そこに駆け寄る1年生のマナカ

マトイ「ふう。」
マナカ「先輩お疲れ様です。これよかったら飲んでください!」
ト「・・・ごめん。抹茶ラテ、今いらんわ。」
ナ「抹茶ラテ好きって言ってたから。。」
ト「私、たしかに抹茶ラテすきやけど、練習で汗かきまくてるときはいらんわ。」
ナ「すいません。薄めたポカリもあったんですけど。。。」
ト「そっちやわ。そっち大正解やわむしろ。」
ナ「あ、じゃあどうぞ。粉のポカリ割って牛乳パックに入れました。」
ト「入れ物大不正解やわ。」
ナ「洗ってますよ!」
ト「いや気分の問題やけどね。口のところガシガシになってるしな。まぁ飲むけど。」
ナ「ありがとうございます。先輩、実は相談なんですけど。」
ト「なに?アーチェリーのこと?あの、マナカちゃん構えた時に「あたるあたるあたるあたる・・・いっけぇ!!」って言いながら打つのやめてね。気が散るから。」
ナ「そんなこと言ってます?口ではそんな風に言ってるんだ。。。」
ト「口では?気づかずに言ってたん??心では何て言ってるの?」
ナ「南無八幡大菩薩。願わくばあの的の真中をこの弓にて見事射抜かせたまへって言ってます。」
ト「よかったわ逆じゃなくて。もうそのままでいいよ。」
ナ「私の事認めていただいてありがとうございます!!」
ト「別に認めたとかじゃないし、認めるとか認めんとか人が決めることじゃないから。」
ナ「そうなりますかね!?」
ト「・・・うん。で、なに?相談って?」
ナ「うーーん、、ここじゃあれなんで、、、視聴覚室でいいですか?」
ト「パワポつかってプレゼンでもすんの?ここで良いでしょ。」
ナ「はい、いいですけど、、、」
ト「私もうちょい練習したいから、あんたも練習つきあってよ。」
ナ「はい!」

ビュッ ストン

ナ「さすが先輩!百発百中ですね。」
ト「マナカちゃんはほんと全然うまくならないね。それいいけど相談ってなに」
ナ「はい、実は好きな人がいて。」
ト「えーだれ?」
ナ「二年生の先輩なんですけど。」
ト「へー。ていうか恋愛相談、私にするの間違ってない?」
ナ「私マトイ先輩のこと尊敬してますし、これだけアーチェリー上手いからきっと的を得たアドバイスしてくれると思って。恋のキューピッドになって欲しいなって。」
ト「オッサンの発想だけどなそれ。それで?私は何を言えばいいの?」
ナ「告白とかって、どうやってするのが、いいんですかね。」
ト「そりゃ楽なのはlineとかで言うのが楽だろうけどそれじゃ、なんかね、本気な感じが伝わらないかもしれないし、、」
ナ「たしかに。」

ビュッ ストン

ト「・・・全校集会の時に校長押しのけて、すきです!って言うとか」
ナ「え?校長おしのけて?」
ト「そう。みんなの前で言えるくらいだから本気なんだって一発で伝わるし、もし付き合えたら先生公認になるわけだから楽だと思うんだ。」
ナ「・・・はぁ。・・・まぁタイミングはまた考えるとして、、、髪型とかってどうしたらいいでしょうか。」
ト「いや髪型とかどうでもよくない?汚くなければ。」
ナ「やっぱり男の子に好かれそうな髪型にしてた方がすきになってもらえる確率はあがるかなって。」
ト「そうだなぁ、、、よくわからんけど、、、」

ビュッ ストン

ト「・・・隣の校長とおなじ髪型にするってのは?」
ナ「校長ベリーベリーベリーベリーショートですよ。」
ト「てか角刈りな。」
ナ「私に角刈りにしろっていうんですか?」
ト「ルックで決める男なんてしょうもないんだからさ。そこであんたのことをほんとにちゃんと見てくれるかわかるじゃん。」
ナ「それにしたって角刈りは。。。まぁ髪型は別にいいとして。。どんな服装がいいと思いますか?それでどうやって思いを伝えればいいですか?うち私服じゃないですか?かわいい服とかの方がいいですかね?」
ト「いや、うちの部のアーチェリーのユニフォームでいいんじゃない?それで・・・」

ビュッ ストン  

ナ「・・・その好きな子にむけて実際にショットすればいい。」
ト「え?死にますよ!?」
ナ「それで死ぬようならそこまでの男ってことよ。」
ト「・・・え?本気で言ってます?先輩さっきからターゲットにはバンバン刺さってますけど、めっちゃ的外れなことばっかり言ってますよ!!??」
ナ「マナカちゃんの勢いがすごいから言いにくかったけど、好きな人って二年のハヤト君でしょ?一応わたしの彼氏だよ。」
ト「え、そうなんですか?知らなかったです!・・・すみません!」
ナ「別にあやまることないよ。悪い事したわけじゃないんだしあんま気にしないでね。じゃあまた明日ね!」
ト「・・・・・・・・・・アーチャーーー。」

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