SA・PAの魅力

 サービスエリアやパーキングエリアは魅力的である。

 皆さんも思い出してみて欲しい。高速道路で、車に乗って長時間走行している。トイレに行きたくなったり、喉が渇いたりしてきたので、近場のパーキングエリアやサービスエリアに入り、車を降りた時のあの解放感。


 高速道路に用事なく乗る人はいないだろう。旅行か、仕事か、帰省か、何しろ高速道路という体験は「非日常」なのである。その非日常空間における安息の時間。しかも高速道路は(事故などで非常駐車帯に退避する場合を除いて)基本的に途中で止まることはできない。ノンストップで走り続けることを強いられる中、唯一の休憩スポットとして君臨するのがサービスエリア、パーキングエリアである。


 賑わっているサービスエリア、そこに立ち寄る人々は、皆違う人生があり、それぞれの出発点から、それぞれの目的地を持っている。そんな人たちが、一瞬だけサービスエリアという空間で同じ時を過ごすのだ。

 ただ逆に、誰も人がいない深夜のサービスエリアもまた情緒的で良いものである。むしろ「非日常の中、休むことなく運転している中に訪れる僅かな安息」というならば、馬鹿でかく、賑わっているサービスエリアよりむしろ、必要最小限のトイレ、自販機、フードコート、売店、無料のお茶程度しかない施設の方が情緒がある。夜、そこにいるのは自分一人だけ、耳をすませると夜のとばりの中、煌々と光っている自販機から、稼働音が聞こえてくる。世界に残った人類はただ一人俺だけなのではないだろうかという圧倒的孤独感、ただそれでいて、自分には向かうべき目的地があるのだ。圧倒的孤独を感じながら、この安息の地をもうすぐ離れなければならない。そんな刹那性すら愛おしい。それがサービスエリア、パーキングエリアのもつ雰囲気なのだ。


 自分の「推しサービスエリア・パーキングエリア」は「阪神高速4号湾岸線 泉大津パーキングエリア」である。

画像1

 写真はWikipedia:泉大津パーキングエリアより


 写真を見てわかるように、ビルなのである。ただし、ビルの施設全てがパーキングエリアではなく、1フロア分だけである。つまり、パーキングエリアとしての施設としては最低限のものしかない。フードコート、売店、自販機、トイレ、交通情報掲示板程度。他のフロアは民間などの施設が入っていたり、ホテルが入っていたりするようである。

 ここの特徴は何より上り線、下り線のどちらから入ろうが、高速道路上を繋げている連絡通路によってどちらの施設も利用できること、そして上り線(海側)からはエレベーターで展望フロアに行くことができるのである。11階なのでまあ展望台といえばそこそこ程度の高さしかないのだが、それでも楽しい。高速道路中のオアシスとしては十分な癒し。


 日本にはまだまだ行ったことのないサービスエリアやパーキングエリアがあまた存在している。今後時代が変わっても高速道路がある限りサービスエリアは存在し続けるであろう。今日も旅人や仕事人たちの心の癒しとなっているサービスエリアに感謝を込めて。

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