鬼滅の刃188話 感想

‪注意)ネタバレがあります。伊黒さんが一番好きなキャラクターで、衝撃で心が追いつかなかったのでまとめました。

読んでいる途中に何度も心が震えた。まず言うとしたら、それは蜜璃ちゃんの役目だと思うけど、伊黒さんに辛かったね、本当に辛かったね、って何回言ってあげてぎゅっとしてあげて安心を与えてあげたら伊黒さんの心の傷は消えるのだろうか、という重い過去を伊黒さんはずっとその口元の包帯の中に隠していた。持っているものが重たすぎて、それでも鬼滅の道を選んだ伊黒さんに言葉が出ない。いや、もうそうするしか伊黒さんには残されていなかったのかもしれない。選ぶ選ばないじゃなく自分は汚れていると感じながら生きていくために鬼を倒す道しかなかったような切迫感を感じる。

やり場のない悲しみ、怒りってこういうことなんだ、って伊黒さんの過去を見てたら思った。誰しも生まれる家は選べなくて、そこに生まれたからそこでそうやって生きるしかなくて、、、蛇鬼女に口を引き裂かれた時の痛みや悲しみ、壮絶さは想像を絶する。どんな形で伊黒さんを慰めても簡単には消えない。顔に大きく残った傷跡以上に心に残ってしまった傷跡が消えない。挙げ句の果てには牢を抜け出したせいで一族が50人以上死んだことを自分のせいにする身内。辛い、本当に辛い。

それでも別の可能性を信じて牢を抜け出した伊黒さんは本当に勇気があるし、その生きることへの執着も恥ずべきことじゃないはずなのに、牢を出ることによって家族を捨てた、命を天秤にかけて自分が生きることを選んだことを伊黒さんはずっと心に「汚いもの」として抱えている。家族は最初から伊黒さんを生贄にするつもりでしかなかったのに、その時点で家族の方が狂っていて人の道を誤っているのに、そこを己の汚点だと考える伊黒さんが優しすぎて心根が綺麗すぎて涙が止まらない。

伊黒さんの生きることへの執着は私は人として自然なことだと思ったし、愛おしいなんていう言葉で繋げる簡単な過去ではないけれど、人間のあるべき姿だと思ったし、人の生きる強さをものすごい持ってる人なんだって思う。

次回鬼滅の展開に願うことがある。自分自身を汚いと、恥ずべきだと、考えている伊黒さんにどうか気づいてほしい。汚れてなんかいない、屑なんかじゃない、伊黒さんの蜜璃ちゃんを想う気持ちは本当にまっすぐで美しくて、伊黒さんのしてきたこともとても人としてまっすぐで、恥ずべきことなんかじゃないと。無惨を倒すことによって少しでも汚い自分が綺麗になる、って思う伊黒さんの気持ちも痛いほど分かるし、悲しみが止まらないけれど、しかしお願いだから、命を失うことで穢れを取り除けるんじゃなく、生きて、生きているうちに早く気づいてほしい。汚れてなんかいないと。むしろその心は本当に綺麗で稀なほど勇気がある、誇るべきことなんだよと。そしてそれをできれば生きて蜜璃ちゃんと共有できたらと願うばかりだ。

一目惚れ、と言ってしまえば、言葉1つでくすりと笑えるものに感じるのかもしれないそれは、大げさではなく、伊黒さんにとってはひどく重い暗闇を這いずり回ってきた中に降り注ぐ一本の美しい光だったんだと思う。伊黒さんが蜜璃ちゃんの笑顔を初めて見た時に伊黒さんの中に生まれた気持ちはとてもとても美しかったに違いないから。どうか幸せになってほしい。

最後に吾峠先生にお礼が言いたい。伊黒さんというキャラクターに出会えて私は本当に良かったです。生きることについてこんなに深く考えたのも久しぶりだと思います。

何度も、どうか伊黒さんが幸せになってほしいと願う。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?