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本要約シリーズ_決算書を経営に活かす方法

こんにちは、ビジネスで失敗しないための会計の時間。私が仕事もなく時間だけは潤沢にある中、本屋さんで会計の本を探して見つけた一冊。結論からいってこの本もすごく役に立つ本でしたので、ご紹介したいと思います。今回ご紹介する会計の本は・・・

決算書から「経営の打ち手」がわかる本
決算書には、「損益計算書」「貸借対照表」「キャッシュフロー計算書」の3つの書類を作成するのですが、その3つの書類は各々目的があります。
詳しくは、過去の記事をご覧ください。

一般的に作成する決算書は、1年間頑張った結果を数字でまとめ上げた資料なのですが、使うのは銀行や、投資家の方々が見るのに適した内容になっていて、あくまで過去の数字に過ぎません。経営者として大事なのは、その決算書をもとに、具体的な経営方針を決めたり、必要な売上、利益などを弾き出すことができるようになりたいところです。

この本は、まさに、過去の会計ではなく、未来に向けての会計、著者の宮崎さんは
「未来デザイン会計」と名づけて紹介しています。
この本を読めば、税理士の先生が作ってくれた決算書を自身の会社経営に活かせるようになります。早速見て行きましょう。

「未来会計デザイン」なら「儲けの構造」がわかる

「制度会計のPL」は、

売上高ー売上原価=粗利益

粗利益ー販管費=営業利益

営業利益+営業外収益ー営業外費用=経常利益

これは儲けの過程を表しているに過ぎないと宮崎さんは言います。
一方「未来デザインPL」では、

売上高ー変動費=粗利益

粗利益ー固定費=経常利益

この計算式は一般的に「変動損益計算書(PL)」と呼ばれるそうです。
図にすると以下のような作りになります。

未来デザインPLの作り方手順

以下の3つの数字を制度会計のPLから持ってくる

  1. 売上高

  2. 変動費

  3. 経常利益

売上高と経常利益はPLに記載されている数字をそのまま持ってきます。
変動費は自分で確認しながら記入します。(変動費の見つけ方が難しいかもしれません、自分の会社ならすぐわかるかと思いますが・・・)

粗利益を算出して、粗利益から経常利益を引いたものが固定費となります。
これが未来デザインPLです。この表を作成することで、損益分岐点が見えてきて、会社として最低限稼がないといけない金額がわかるようになります。
これを「損益分岐点売上高」と言います。

計算式としては、
固定費÷粗利益率

となります。
そこで弾き出された数字が利益ゼロの必達の売上高となります。

経営安全率とは

「経営安全率」とは、「粗利益」が「固定費」をどれくらい上回っているかを表す指標。

経営安全率(%)=経常利益÷粗利益×100

「経常利益」が「粗利益」に対して大きければ大きいほど会社の体力があることがわかるので、経営者としては、この安全率(マージン)をしっかりとることを考えたいところですね。

「利益」を2倍にする「売上高」シミュレーション方法

未来デザインPLを作成すると、利益の構造の理解が深まるため、利益の数字をいじることで、どれくらいの売り上げが必要になるかもシミュレーションができるのです。

社長が欲しい「経常利益」+「固定費」の合計額(=粗利益の額)を算出する。

企業は「粗利益」の最大化を目指せ

企業経営では、まず、「粗利益」を最大にする方法を社長は考えること。
それに「固定費」どのようにして成長を阻害することなく抑えるか、ということがテーマとなるわけです。僕は実際会社経営に失敗して痛い目を見るまでこんなことを考えずに来たことが本当に恥ずかしい。

【黒字化の第一法則】=利益を出すには、「粗利益」を最大化せよ

利益は「逆算」で考える

売上を出して、結果残ったものが「利益」という発想から、
「利益」=必達の売上高を逆算するためのもの

「経常利益」は残った利益ではなく、会社が生き残るための「必要経費」だという理解が必要なのだそうです。
これはとてもしっくりくる考え方だと思いました。

「どこに手を打てば利益を出せるか」を常に考える

決算書を見ながら、経営の打ち手を考えるということです。
大事なことは

売上を増やすことが第一

変動費は発注単価を減らすか、発注量を増やすから単価を下げてもらう、仕入れ先・外注先の変更。もしくは内製化という方法もありますが、逆に内製化することで効率が悪くなって苦しくなることもあるので要注意です。

固定費の削減も検討の余地はありますが、やはり、あまり無闇に経費を削ると、かえって会社の体力を削いでしまう可能性があるので、まずは「売上」をしっかり増加させることを最初に考えるべきです。

利益計画の作り方

会社の存続に必要な利益から逆算して計画を立てることが重要。

  1. 目標の「経常利益」を設定する

  2. 「固定費」を予測する

  3. 「必要粗利益」を計算する・・・「経常利益+固定費」

  4. 「必要売上高」を計算する・・・「粗利益÷粗利益率」

そのほかに、「人件費」や「その他経費」も見積もっておきます。ポイントとしては、若干多めに見積もるのが良いそうです。

仮の利益計画のシミュレーション

目標の「経常利益」・・・1,000万円

「固定費」を計画
人件費・・・3,000万円
経費・・・・1,800万円
未来費用・・200万円

粗利益=経常利益(1,000万円)+固定費(5,000万円)
6,000万円

仮に粗利の利益率を60%と仮定した場合の「必要売上高」は

粗利益(6,000万円)÷粗利益率(60%)=1億円

まとめ

本の中ではこのほかキャッシュフロー計算書と貸借対照表についても書かれているのですが、僕が読んだ限りでは、まず、最低限、制度会計で作られた損益計算書をもとに作成する未来デザインPLだけでも裏打ちされた経営計画が作れるのではと思いましたので、ここではPL部分だけを紹介しました。
これでその場その場の場当たり経営から、計画と数字に裏打ちされたプロの経営者然とした経営ができるようになるのではないでしょうか。

もしもっと詳しく読みたい方は、実際手にとってお読みいただくのが良いかと思います。今回はここまでにしたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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