【250字レビュー】こちらあみ子

どういうこと?という気持ちのままぐいぐい先に進む。読み終えてしばらくしてあみ子にはあみ子なりの筋が通っていると気づく。あみ子に恨みや悪意が希薄なのは何でも忘れるからか。大人になっていく周囲は異質な存在に対する悪意を向けるが、あみ子は左右されない。純粋にのり君が好きなだけ。社会一般の筋から追うと悲劇的だが、あみ子には関係ない。坊主頭の男の子だけが対等に向き合う。彼の滲む優しさは感じているみたいだけど、社会的な自己像の曖昧なあみ子はうまく関係できない。純粋さへの驚きとじんわりとした痛みが残る。

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