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【EV】EVの航続距離は顧客を満足させるポテンシャルを秘めているか?

はじめに

過熱気味だったEVへの見方が少し落ち着いてきました。ここで再度考える必要があることとして、EVはガソリン車を代替するポテンシャルを秘めているかということです。
重要なのは、「現時点でガソリン車より優秀か」ではなく、「将来的にガソリン車を代替できる可能性があるか」という観点です。
なぜなら、今後、EVにポテンシャルがないのであれば、EVに期待するだけ無駄になってしまうからです。
今回は、EVのポテンシャルの中でも特に気になる航続距離に関して考えました。つまり、問いは「EVは将来的に顧客の満足する航続距離を達成できるか?」です。


顧客の満足する航続距離とは?

顧客が満足する航続距離の基準として、ガソリン車を考えてみましょう。ガソリン車の航続距離は、およそ600-800km程度です。勿論、航続距離は長ければ長いほど良いですが、ガソリン車が十分普及している現状を鑑みると600-800kmは十分と考えてもよさそうです。
では、EVで将来的に600-800kmの航続距離を達成することはできるでしょうか?

現行のEVの航続距離は?

現行のEVの航続距離を調べます。bZ4Xの航続距離をカタログには567kmと記載があります。したがって、現行のEVの航続距離は顧客の満足する航続距離にあと一歩足りません。

EVの航続距離のポテンシャルは?

ここからが本題です。
LiBの改良や全固体電池が登場することが期待されています。これによってどの程度航続距離が延びるでしょうか。これは、電池の体積エネルギー密度次第でしょう。LiBの体積エネルギー密度は、諸説ありますが以下の日経クロステックの記事によれば、体積エネルギー密度の現在値が700Wh/Lで理論限界が800Wh/Lです。


表1 LiBの体積エネルギー密度とbZ4Xの航続距離

単純計算すると、567×800/700=648kmとなります。ガソリン車の基準を満たしています。
結論として、「電池は体積エネルギー密度には十分なポテンシャルがある」といえそうです。

図1 LiBの性能が理論限界まで引き上げられた場合

反論:LiBはこれ以上改善されるか?

反論として、「必ずしもLiBが理論限界まで改善されるとは思えない」という声が上がりそうです。
確かにその通りです。しかしながら、重要なのは顧客の満足する航続距離を満たせるかということです。決してLiBの改善だけで航続距離を延ばす必要はないです。例えば、
・タイヤの性能が向上する
・パワー半導体の効率が改善される
・全固体電池が実用化される
等々
したがって、「LiBがこれ以上改善されるか?」は確実なことは言えませんが、あと、10数%の航続距離改善なら他の手段も使えば見込めそうです。


結論

現行のLiBにはまだ少し改善の余地があり、また、その他の改善によって、顧客の満足する航続距離である600km~を達成できそうです。
今回は航続距離に関してのみに議論の焦点を絞りました。今後、他の論点についても考えてみます。
ではまた~。

参考文献



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