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留学日記#10 23.9.28.

 太ったかも。スイスに来てすぐのころは食生活の基盤が整っていなかったのでどうしても痩せざるを得なかったのだが、自炊のサイクルがつかめてきたことで、安くて簡単な料理を大量に作るようになってしまった。最初は作り置きのつもりでも、いざ出来上がるとニンニクとオリーブオイルの香りがフォークを止まらなくさせる。まだ基本的なスパイスしか買っていないので、ニンニク、オリーブオイル、塩胡椒、ブイヨン、カレースパイス、あとはトマト他野菜の味で何とかしている。それでも美味い。夕飯ごろには決まって疲れているので、ストレスを発散するように食べ散らかしてしまう。たった二週間で作るのが上手くなったというのもある。トマトを煮込むところから始める絶品アラビアータが今のところの最高傑作だ。ペンネの扱いに手慣れてきた。

写真撮るの下手かも、でも美味い

 本当はこちらに来てから運動するつもりだったのだがその計画はまだ始動していない。キャパシティは有限だから、語学に集中していたい。留学開始から三、四日目あたり、現地人とまったく話せないことに絶望して生まれて初めて現況を紙に書いて整理したのだが、そのときに自分の欲望を押しなべて整理し、優先順位をつけた。ただでさえストレスフルな生活だからすべてを望むのは難しい。今回の場合は運動と減煙をさしあたり諦めた。

 スイスは煙草天国で、いたるところに灰皿がある。そもそもゴミ箱が多く、その一つ一つに灰皿となるスペースがついている。皆一定確率でポイ捨てするので道にもたくさん吸い殻が落ちている。それでも煙草は高い。一番安い「parisien(パリ人)」という銘柄でだいたい1400円ほどする。一本70円? 野菜のほうが安い。舐めてんのか。

パッケージ可愛い
「煙草を吸うと元気がなくなるよ」、おもしろ

 それでも吸う。現段階で出費はかさんでいる。が、まだ気にしない。無理な贅沢は一切していないのでもう少し自分に甘くする。当座は煙草に寄りかかって生きていく。"My life depends on the nikotin"。お手軽に笑いを誘えるので重宝しているフレーズだ。ちなみにフランス語だと"Ma vie dépend de la Nikotine"となる。

 話は変わるが、今日三人目のタンデムと会った。大人しめの一年生の子で、深い話はせずともリラックスして話せていい感じ。公園で喋っていると数十分に一回は誰かに声をかけられるのが日本とは違って面白い。煙草を吸いながらタンデムの子と話していたら、いかにも目のキマったハーレークイーンみたいな女の子に「それウィード? ちょうだーい!」と尋ねられた。違うよと返すとバイバーイと笑って消えた。スイス最高。ここでは大麻は違法だがかなり普及しているようだ。それも最高。けれど今後この日記でウィードに言及することはないだろう。日記には沈黙がある。

公園には人が沢山。皆おしゃべり。

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