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留学日記#13 23.10.21.

 ここ一週間で急に寒さが厳しくなった。何枚も重ね着しないと外に出れない。朝と夜は冬くらい冷え込んでいる。

 それでも自室の窓から見える山は一切変わらない。むき出しの山肌は僕を見るわけでもなく見られることを意識することもなく、いつでもいかめしく屹立している。

山は変わらない

 僕はというと、生活リズムに完全に慣れてきて、勉強のサイクルも順調に回り出してきた。オンラインレッスンと語学交換パートナー:タンデムとの会話を一日に一回ずつ、それに加えて無理ない範囲で自学の時間も取る。会話力は一回り上がり、リスニングの力も以前から比べれば成長した。ただし両者ともナチュラルスピードには到底追いつけていない。依然として課題は残っており、課題解決のために語学に時間を割く日々が続いている。街は時間の流れが緩慢としているのに、カレンダーの日付はめくるめく変わりゆく。時間感覚に奇妙な両義性を感じる。

 最近の出来事を写真で振り返ってみる。

ローザンヌに行った
ローザンヌ大聖堂入り口からの一望
アール・ブリュット・コレクション
マッジ・ギルの大作に息を飲む
タンデムE、Eの姉と三人で彼女らの牧場へ
フランス・アヌマスの業務スーパーで買い出し
平然とスイスの半額だったりする
古本屋リベンジ成功
目当ての品はなかったがトリュフォーを購入
生のカイエ・ド・シネマ…!
ナイスガイのコロンビア人が日本のドンキで買ったお土産
四錠使っていた

 こちらで生活しているとあらゆる場面で素朴さを感じる機会に出くわす。娯楽はカルチャー、スポーツ、嗜好品、セックスの四つばかりで、あるいはタンデムEと姉は木の実を投げて遊んだりしていた。素敵だと思うし、日本との違いも感じる。日本は何かと迂遠だった、とまで乱暴に整理するつもりもないが。

 その違和感は清潔感や距離感に感じるギャップと根を同じくしているように思える。こちらは世界がむき出ていて固い。もちろん日常から隠蔽されてはいるが、生と死とが日本より少し生々しくて、岩肌のようにごつごつとしている。素朴さに強度がある。あるいは重ね合わさっている。

 惹かれもするし萎縮もする。この地のことをもっと知りたい。そのためには言葉を手に入れる必要がある。

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