見出し画像

葬儀のナレーションって本当に必要なの?

↑ タイトルの件、そう思ったことありませんか?
私もそう思っていました。お経があがればそれでいいんじゃない?って。
正直言えば、半分そう思ったまま、葬儀司会の仕事を始めました。。。笑

今は、必要だと思っています。

とは言いません。それは人それぞれの価値観だと思うし。でも、アリかな、とは最近、思い始めています。これは、決して自分の仕事を肯定したいからではなく、実際にお会いしたご遺族の方々からリアクションをいただいて、徐々にそう思えるようになってきました。

以下、葬儀ナレーションを入れることのメリットかなと思われることです。


1 打ち合わせ時に初めて知る、故人さまのエピソードがある

かもしれません。ナレーションの内容の打ち合わせをするとき、話を進めていくと、例えば数人いるお子さま方のうち1人は知っていたけどほかのご兄弟は知らなかった、とか、お孫さんだけが知っていた、それ知っていたけどすっかり忘れていた、そんな場面にしょっちゅう出会います。

故人さまのことを「何も知らない第三者」である司会者と話すことで、近しい方々が、知らなかった、あるいは忘れていた故人さまとの思い出を、改めて「共有」することができるきっかけになることがあるのです。

2 プロに人生・人柄を紹介してもらう機会は、そうそうない

メディアで活躍する有名人ならともかく、そういった露出もなく、コツコツと自分の人生を歩んできた方のナレーションを、その道のプロが作り、発表する場面は、おそらく、結婚披露宴とお葬式くらいではないでしょうか。

3 インタビューの内容がどんな文章になるのか、を体感できる

2に通じますが、打ち合わせ時には箇条書きに近い聞き取り内容を、どう膨らませて文章にし、ナレーションとして読み上げるのか。そこはやはり、依頼主として気になるところかと思います。
葬儀の場合、前日または当日聞き取った内容で、開式までに原稿を作るので、非常に時間的にタイトですが、そこは私たちもプロとして、最大限のパフォーマンスをしたいと思っています。

4 家族だけが知る故人さまの一面を、参列者の方々に知らせることができる

これも1に通じますが、ご家族以外の参列者の方は、家庭での故人さまをご存知ありません。例えば、どんなお父さん・お母さんだったのか、休日はどんなことを楽しんでいたのか、など、知っていただく機会にもなり得ます。

5 泣ける

といいな、と思いながら、私は文章を作っています。それはお涙頂戴的な演出をしたいというニュアンスではなく、本当に単純に、泣いてほしいと思っているのです。

大の大人が人前で泣いて恥ずかしくないのはお葬式だけだと思いますし、何より、故人さまの身体がまだ目に見える段階、つまりお骨になる前に、しっかり悲しんでから見送ることは、とても大切だと思っているからなのです。


以上の点を意識しながら、日々のお仕事にあたっています。

ちなみに、この数年の感染症流行の中、お葬儀は縮小傾向にあり、お身内だけのお式が本当に多くなりました。それでも、ご親族数人で聞くナレーションでも、とても喜んでいただけることが多く、やりがいを感じさせていただいて有難い毎日です。

最初に書いたように、ナレーションが必要かそうでないかは本当にそれぞれの価値観によるところが大きいです。あまり乗り気でなかったとしても、閉式後に「ナレーション、やっぱり入れてもらってよかった」と言ってもらえるよう、これからもお仕事に丁寧に向き合えればと思います。

日々精進。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?