詩集列車

ああ 私は一人の修羅なのだと 
肩を落として家路に就く
ポケットの中の詩集も
色褪せた思い出の中
これが現実だと寝酒でもあおれば
今日も眠りにつけるのだろう

帰りの通勤電車の中はみんな
同じ哀しみを抱えた
まるで同胞の様だ
一時 その涙も忘れ
胎児になって子宮に戻る
薄暗く 柔らかな空間

詩集から 言葉が飛び出し
列車は 息を吹き返す
白鳥座も超えて 詩集列車たどり着いた先は
いつもの最寄り駅よりも
もっと遠く そして高い 高いところ

私たちの流した涙は
たちまちに銀河系を彩る星となり
その満天の空の下
皆を子宮の眠りへと誘う事を

心から願う

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