シングルマザー、ついに家を買う。
ついに、ついに、家を買った。
築50年以上の公団の一室だけど、ある程度きれいにリフォームされた広い部屋。
とうとうできた私の居場所だ。
もらった鍵を握りしめ、早速立ち寄ってきた。
まだ電気の付かない部屋。畳のいい匂い。
ここでさっき買ってきた、割引されたケーキとブラックコーヒーで
一人でお祝いをした。
もうすぐ誕生日だから、それも兼ねてということで。
この家の契約をしてお金を払ったら、
あっという間にいなくなってしまったスーツの男性たち。
入金を確認し、取引が終了したら
もうお客では無くなった私を置いて、
物件購入RPGは呆気なく終了した。
小さなときめきを黒で塗り潰し、古城を得たのだ。
金運は割と良い方なんだけどなぁ、なんて
若干穴が開いた心を気にしながら、
この古城を住めるようにする為、あれこれ考える。
一つ終わって、また新しいRPGが始まる。
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