祝福のウラ
年末に地元に帰ったら、幼馴染が近所の同級生と付き合っていた。
衝撃だった。
インドアで恋愛に興味を示さないような幼馴染だったから尚更だ。
そんな彼女と彼の接点は何なのか?
彼女曰く、彼が何度かバイト先に来て、ある日突然LINEのIDを渡したらしい。
そんな素敵な出会いがあるんだ。というかそれは今時なのだろうか?
そのへんが疎くてよく分からない。
LINEを交換したあと何度か食事に行ったらしいが、大きな進展はないという。でも、彼女たちらしくていいじゃない。
末永く幸せになってほしい。
付き合っているという報告を受けたあと、彼らのツーショット写真を見せてもらった。
幸せそうな2人が写っており、こちらまで嬉しくなった。彼が素敵な笑顔を見せていることに衝撃を受けたが、いかに彼女のことが好きかが伝わってきた。
彼のことは、近所の同級生であるから知っている。ただ、私の中ではいつも不機嫌そうな顔をしていた幼い頃のイメージしかない。だからこそ、幸せそうに笑っている写真を見た時は別人かと思った。きっと彼も成長したんだろうな。
彼のことを細かく書くのは理由がある。彼は、私の初恋の相手だからだ。
告白した訳でもないし、誰かにこの想いを話したこともない。小学生の頃、少し不機嫌そうで大人びた雰囲気に惹かれていただけにすぎない。それが好きだった。
彼にまつわる話で言うと、小学6年生の時のことが1番印象的かもしれない。先に言っておくと、全然幸せな話じゃない。
6年生の時、私は学級委員長だった。カリスマ性もないのに1番でしゃばっていた時期だった。だから陰で色々言われるのは仕方がなかったけれど、彼とその友達2人から明らかに避けられるようになった。
私が近づくとただ逃げられ、遠くから何か言われる。
耐えられなかった。別に酷いいじめでもなんでもないから、特筆することはないがただ悲しかった。
彼に嫌われるようなことをしたのだろうか?なぜ避けられているのか?
分からない。だからこそ苦しい。でも、彼のことを嫌いにはなれなかった。好きだったから。
一応、この件については先生が察知して助けてくれたら丸く収まった。あの先生には本当に感謝している。ただ話を聞いてくれるだけであんなにも心が休まるなんて。給食のコンテナがある部屋の中、先生の前でボロ泣きしたことを覚えている。
彼との思い出といえば、この話と一緒の分団で登下校したぐらいだ。本当にそのぐらいしかない。
彼女が彼と付き合っているという話を聞いて、ふと思い出してしまっただけ。
もう、忘れてもいいと思う。
ただの祝福のウラばなし。
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