スティーブン(仮)と私の2分の夢

※別ブログの再掲です。この間勧誘の記事を載せたから、ついでにこっちもお見せしようかなと……いずれちゃんと新しいのも書くので🙇🏻‍♀️‪‪

突然ですが皆さんは『ナンパ』をされたことがあるでしょうか。ナンパとは、
面識ない者に対して、公共の場で会話遊びに誘う行為のこと(ByWikipedia)。
何故かこの国では『ナンパ=男→女』という法則が成り立っているらしく、『女→男』のナンパに関しては『逆ナン』などといった呼ばれ方をしています。なんにせよ、残念ながら私は平凡な顔平凡な声平凡なスタイルでかつたかだか17年しか生きていないので(17の時に書いた文なのでこの表記ですが現在は19です)、まだそういったお誘いをされたことはありません(これからあるとも思えませんが)。

さて、そんなナンパ経験は無い私ですが、それとは別に数年前、こんな経験をしました。


その日私は祖母の家へ向かうため、駅前通りを歩いておりました。夜の…7時くらいだったでしょうか。日はとっくに沈んでおり、けれども駅前なこともあって店の灯りで辺りは明るく人通りも多い、そんな状況でした。
道を歩いていると、突然そこそこにイケメンな外国人に、道を教えてほしい、と声をかけられました。名前が分からないのでスティーブンさん(仮)としましょう。何せ私の住むこの街は人気観光地札幌。外国人に道を聞かれることは今までにも幾度かあったので、私は特に疑いもせず習いたての拙い下手くそな英語で懸命に道を説明しました。で、確か途中まで一緒に歩くことになったんだっけな。道中私はスティーブンと少し会話を交わします。
「君かわいいね」
「中学生?」
「こんな遅くまで何してたの?塾?」
的なことを英語で言ってくるスティーブン。まあでも相手は外国人ですから、私も「流石外人さんだなぁ話す言葉一つ一つがナンパみてぇだ」くらいにしか思わず、とりたてて気にせず会話をしていました。そうしてしばらく話した後、彼は同様に英語で私にこう言いました。

「君は英語が上手だね」

これ、外国人に道案内とかをした際に言われて嬉しい言葉ナンバーワン。流石の私も嬉しくなって、でも英語の成績がそこまでいいわけでもないので
「そんなことないよ、あんまり上手く話せない」
的な謙遜した返事を返しました。すると彼が
「君の歳でそこまで話せるのはすごいよ」
と言うので私は
「いやいや、学校のテストでは点が良くなくて…」
と返しーーと、その辺りでスティーブンの目的地に到着。彼は丁寧にお礼を言い、それから去り際に優しそうな笑顔で『日本語で』こう言ったんです。

「僕、そこのとこで英会話教室やってるんだ。良かったらおいで」

手を振り人混みの中に消えていくスティーブン。あまりにも自然な流れで違和感がなかったものだから、最初は気づきませんでした。別れてから10秒ほど歩いて、そこでようやく全てを理解してハッとしましたね。……あれ勧誘じゃね?って。

まあどこかに連れていかれたわけでも何かを買わされたわけでもないのでちょっと微妙なラインですが、なんにせよいやぁ感心しました。制服を着ている子に英語で道を聞いて、しばらく英語で話して、少ししたあたりで「英語上手いね」と褒めて、謙虚な日本人は大体「そんなことない全然上手くない」と言うから、そこで去り際にサラッと自分の教室を勧める。チラシもティッシュも渡さないから、一見するとただの優しい外国人。とても勧誘だとは気づかない。華麗な手口ですねー。

まあ本当にスティーブンはただの良い奴で、たまたま道を聞いた子が英語の点が取れないと悩んでいるらしいから自分の教室を紹介してあげた……という線も無くはないですが、だとしたら何故「そこで英会話教室やってるんだ」って奴が『そこ』のそばで道に迷うんだって話ですよね。お前の言う『そこ』から2分も歩かなかったぞ。方向音痴極めすぎか。

当たり前ですが結局その英会話教室に行くことはありませんでした。というか調べもせず数年以上忘れていました。この文を書く時に思い出して、朧気な記憶を辿りGoogleマップでその周辺の教室を調べてみましたが、たくさんありすぎてどこがスティーブンの教室かも特定できず仕舞い。どこの角って言ってたっけなぁ……元気にしてるかなぁ……てか名刺くらいくれよスティーブン……。名前が分からないから私は君のことを勝手にスティーブン呼びしてるんだぞ。
というわけで皆さんもナンパに見せかけたセールスにはご注意を。街で声をかけられた時、モテているのは貴方じゃなくて貴方のお財布かもしれません。

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