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泣いても笑っても過去は過去

もし今でも彼と毎日を過ごせたなら、と考えることがある。一緒に通った通学路、一緒に歌ったあの歌、一緒に写ったあの写真、全てが僕の記憶には刻み込まれていて、それらに触れた瞬間、その記憶は想起される。 目を覚ますと朝7時を少し過ぎていた。毎晩、目覚ましを設定して寝ているのに、いつもアラームが鳴っている事すら気づかずに毎日寝坊。しばらく細い目で天井を眺めたあと、下で眠っている妹を起こさないように起き上がり、そっと2段ベッドの梯子を降りる。 階段を踏み外さないように1段ずつ降りると

    • リアル逃走中

       「外行こうぜ」と今日も美術室掃除担当の僕らは掃除をサボることを決め、教室を出る。掃除をサボりたいんじゃない、掃除場所に来ない僕らを探しに来る富田という教師から逃げることを楽しむのが僕らの目的なんだよ。  いつもの隠れ場所、駐輪場に行くには美術室は避けて通れないので4人で窓の下をしゃがんで通る。おそらく体裁は最悪だっただろう。  駐輪場は2階建てになっていて1階で2人、女子が校内で使用禁止のスマホを使っていたので、前を通る時に「たぶん俺らを富田が探しに来るだろうから気をつ

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