なぜ彼らはインターネットに殺されたのか?
2017年、ついに脳波で操作するパソコンが実用化されました。
脳に埋め込むタイプではなく、頭皮上に電極をおくヘッドセットタイプです。
利用者はそのヘッドセットを通じて、脳波による指示をパソコンに送ることができるようになりました。パソコンは、その依頼を受け、メールの作成や動画の再生、パソコンのオンオフなどができるようになったのです。
アーリーアダプターとして、それらのヘッドセットを使い始めたのは一般の方々ではありませんでした。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)の方や四肢麻痺などの手足での操作が不自由な方々に感激をもって受け入れられました。
一般の人たちが使い始めるようになったのは、さらにそれから3年後です。
きっかけは、IoT(モノのインターネット)との接続です。それにより、脳波でパソコンだけでなく、インターネットと繋がったテレビやカーテン、オーディオなども操作できるようになったのです
脳波でそれらを操作することにより「リモコンどこいったっけ?」と悩むこともありませんし、「寝室の電源を消すのがめんどくさい」といったことも解消されます。ベッドの上から脳波で指示すれば、電気が消えるのですから。
さらに、2025年には、ヘッドセットなしでも指示を出せるようになりました。脳波をそのまま離れた受信機に飛ばしてIoTやパソコンを操作することができるようになったのです。
しかし、そこで事件が起こりました。誤作動と思われる事故によって死ぬ人が増えたのです。
たとえば、カーテンに首をくくりつけて死ぬ人や、家の鍵が開かなくなって餓死した人、真夏に暖房の温度があがりすぎて脱水症状になった人などなど、多くの人がIoTによって命を落としました。
原因究明が行われました。仮説としては「間違った指示を脳波で送ってしまった」というものでした。しかし、間違った指示を送ると停止できる仕組みになっています。それらが作動していませんでした。そう考えると、間違った指示ではなかったようです。
次の仮説としては「自殺願望があったのではないか」というものでした。つまり、「意識的にIoTを使って自殺をした」という見立てです。しかし、それも当てはまりませんでした。死んだ方々に自殺の徴候はなかったからです。
そして、調べた結果、死んだ方々にある共通点が見つかりました。
それは観葉植物を育てていた、ということです。
そこから、研究者たちは新たな仮説を導き出しました。消去法といってもいいでしょう。それは「植物が端末に脳波を送り、飼い主を殺した」というものでした。
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