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自己愛と無敵ギャル

3月の半ばから、パーソナルトレーニングと栄養士のマンツーマン指導付き糖質制限を始めた。脚は瞬く間に細くなり(当社比)、みるみるうちにくびれが生まれ(当社比)、体脂肪率に至っては5%も落ちた。一方、かなり期待していたのにもかかわらず未だに腹筋の縦線は現れない。へそを出せるようになるのはいつですか。
始めてすぐのころは低血糖で起き上がれなくなったりしていたけれど、途中から自主チートデイと称してこっそりパンをつまみ食いしたりするようにもなり、罪悪感と闘いながら健康的な食事の概念を毎日叩き込まれている。こういうのはゆるゆると長く続けるのがいいんだろうな。もう二度と炭水化物だけで一食を終わらせるようなことは怖くてできない身体になってしまった。代わりに、背中をぺたりと床に付けた状態からは決して起き上がれなかった人間が、60秒×3のプランクをなんとかやりきったりしている。

いま欲しいもの。リュミエリーナのレプロナイザー4D Plus。もう一年くらい買おうか諦めようかを繰り返してきているけど値段の高さに踏ん切りが付かない。新しく通い始めたヘアサロンがレプロナイザーで仕上げてくれるので、その仕上がりの艶やかさにまた性懲りもなくときめいてお財布の紐が緩みかけている。57,200円。高い。毎日使うものだから、早く買ったほうが人生単位で考えたときのコスパがいいとわかっていても、お買い物というのは検討している間も楽しいものでいつまで経ってもうだうだ悩み続けてしまう。
母がくるくるドライヤーが欲しいと言い出して、今の髪の悩みを聞き出すとどうにもダイソンエアラップ以外の解が見つからず、腹を括ってプレゼントすることにした。ものすごく喜んでくれたので非常に満足したが、懐は寒くなってしまった。またレプロナイザーが遠のいた。連休が終わったらはりきって働こう。

ここ数年で、自分のことを好きになるための知識やら時間やらに投資をするようになった感覚がある。大学院生時代は、有り余る好奇心を最大化させるために精神のすべてを学問に注ぎ込んでいて、己の本質と向き合ったり躁状態になるためのスイッチを把握したり、そういう「体幹」を鍛える時期だった。自分がどんな人間かを言語化できるようになって初めて、自己愛の片鱗が垣間見えた。
肌とか髪とか、身体的な資本にも真剣に目を向けるようになったのはその後だったと思う。アラサーおねえさんはみんな必ず通る道なのかもしれないけど、美容や健康に課金するのも結構楽しい。食事の指導まで受けることになるだなんて10代のわたしに想像できただろうか。「ごはんだいすき!寝るのもだいすき!!」という欲望に忠実な人間がwellness路線に走っていて、ほんの少しの可笑しさと、人間変わろうと思えばわりと変われるものだなという感心を抱いている。

パーソナルを始めたことに対して周囲から何故?と聞かれる場面が多々あり、毎度決まって「強くなりたくて…」と答えていた。だいたいキョトンとされる。
春から新しく上司になった人と長い面談をしていて、基本的に自己肯定感が低く、都度何かを達成して周囲に貢献しないことには己の存在を疑問視してしまうと話したら「強くなりたいと言っていたのが理解できた」とかなり納得された。どんな状態であれ自分のことを無敵だと思える人と、ある一定の条件(努力により実るもの)を経て初めて無敵になれる人がいて、君は後者なんだねと。その通りです。

わたしだって寿蘭ちゃんみたいなハッピー最強ギャルでティーンエイジャーを過ごしたかったな〜!なんて思いつつ、これから遅咲きギャルとして銀座を闊歩する最強おねえさんになるので全然大丈夫です。体重があと2kg落ちたらへそも出そう。

2021.5.3

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