【MBTI】SNの対比関係とは?
を考える記事。
Sは感覚、Nは直観と言われ、MBTIでは両者が対比関係として定義されている。
ぶっちゃけなんでこの二つが対比なのか、筆者はよくわかっていなかった。もう一つの対立軸であるTとFは「理性と感情」といった言葉でよく対比されるため、違和感は少ない。しかし直感と感覚ってなんだ…?わかるようなわからないような…というかそもそも、なぜそれらが対比関係とされているのだろう?というのがここ最近の悩みだった。その悩みに自分なりの答えが出たので書いておこうと思う。
N型が大好きなパターン化や比喩を多用するので万人にとって分かりやすい説明ではないかもしれないが、この考え方をすると心理機能をイメージでとらえることができるようになり、暗記量が減る…かもしれない。
思うに、この二つは「具体と抽象」と言い換えるのが良いのではないかと思う。Sが具体、Nが抽象である。
S=手で触れるもの
心理機能Sは具体的なものを重視する。それは例えば自分の体、今手にしているスマホ、今日の出来事を書いた日記などである。それらは手で触れることができ、実在するものだ。日記の中に書いた文章は、過去の出来事やその時の自分の気持ちを物質として残したものなので、日記やデータはSの範疇に入る。したがってSは過去と現在を司る。
その機能に方向性を持たせたのがSiとSeである。
Siは自分の身体
Siは自分の一番身近にある物体、つまり自分の体を意識する。Siを持つ者にとって、世界とは自分自身だ。今の体調や体温、心拍数などの身体的な感覚を理解することは容易いだろう。しかし、彼らには自分以外の世界は見えていない。だから自分の体(多くは手)を通じて、世界にアクセスする。
Siを持つ人間にとって、知らないものは怖いものだ。触ってみるまでどんな形かわからない。それは尖っているかもしれないし、熱すぎるかもしれない。危険である。できることなら、安全だとわかっているものしか触りたくない。だからSiの強い人間は積極性が少なく、腰が重くなる。
Siを持つ人間がルーチンワークに強いと言われているのは、自分の手がいつも触れているもの、言い換えるなら自分の体がいつもしていることを強く意識するからではないだろうか。自分の体がいつも触れているもの、あるいは触れたことのあるものを欲するから、Siは毎日のルーチン、過去の経験、実績やデータ、明確でわかりきった計画と結びつく。
Seは手の届く世界
反対にSeは、周りに存在するあらゆる物体だ。Seを持つものは、自分の体よりも先に周辺の世界を意識する。周りが先にあり、何かにぶつかったときに初めて自分の体の存在に気づくのだ。
Seを持つ人間は周りのことは分かるが、自分のことが分からない。姿かたちがあやふやで、どこにいるのかもわからない。自分が存在していることを確信できないのだ。それは恐ろしいことだ。だから触れられるもの全てに触れ、自分を確かめようとする。新しいものに手を伸ばし、あちこちに動かし、試行錯誤する。そのことによって自分の存在を知ろうとする。
Seが積極的と言われるのは、この試行錯誤したがる性質のせいではないだろうか。彼らは触れたことのないあらゆるものに触って、自分を確かめる。それもただ触るだけでなく、いろんな触り方を試し、情報を蓄積する。だからSeはチャレンジ、試行錯誤、衝動、今の感覚、流行といった言葉に結びつく。
N=見えないもの
これに対して心理機能Nは抽象的なものを好む。抽象的なものとは、AとBの関係性、共通点、まだ起こっていない未来など実在しないもののことだ。
この機能に方向性を持たせるとNeとNiになる。そしてこれらは、SiとSeから生まれる。
Neは可能性
Siを持つ人間は、触ったことのあるものを触り続ける。安全とわかっているものを何度も何度も触る。同じものを触り続けた彼は、ある時ふと気づく。これは安全。触っても大丈夫だ。なら他の触り方をするとどうだろう?どんな匂いで、どんな味で、叩くとどんな音がするだろう?壊すことはできるだろうか?これと同じものはないのだろうか?もしこれにそっくりなものがあったら、それも安全なのではないか?
これがNeの正体だ。触り続けた物体を抽象化し、他の可能性に結び付ける。彼が触っていたものがリンゴだったとして、同じものを見つければ、それも恐らく安全である。そのためには、リンゴというものが「赤くて、丸いが完全な球体ではなく、触るとやや冷たくて、少し艶がある」と言うことを知らなくてはならない。それはリンゴという物質そのものではなく、リンゴが持っている抽象的な要素であり、自分が持っているリンゴと他のリンゴを同じものと認識するためのパターンだ。具体的な物体を様々な角度から抽象化することで、今あるものの他の可能性、別の未来を想起するのがNeなのだ。
そしてNeは、思いついたことを試してみたいという欲求を呼び起こす。その欲求に従って、彼は初めて新しい触り方を試す。するとリンゴという物体の「口に入れると甘い」と言う新たな要素を認識することができる。すると今度は別の可能性を思いつき、それを試して再び新たな要素を手に入れる。試し尽くしてしまうと、彼は持っていたものを手放して似たようなものを探しにいく。そうやって少しずつ視野を広げ、自分以外の世界を理解していく。
だからNeを持つ人間は、まだここにない様々な可能性に思い至り、それを試してみたくなる。Neの強い人間が積極的なアイデアマンと呼ばれるのはこのためだ。
Niは確信
Siとは反対に、Seを持つ人間はありとあらゆるものにぶつかりながら自分の形を確かめていく。あるものにぶつかったときは、何となく嫌な感じがした。他のもののときは、びっくりして手を放してしまった。また別のものは、ずっと触っていたい気持ちになった。そして触っていくうちに、ふと気づく。別のものを触っているはずなのに、同じ感覚を覚えることがあるのだ。もしかして、あれは同じものだったのではないだろうか?
これがNiによる抽象化である。異なる事象を何種類も経験することで、それらを繋ぐ一つのイメージを獲得する。彼が触っていたいと思ったものがリンゴなら、同じものを見つけるためにはやはり、リンゴを構成する抽象的なパターンを知らなくてはならない。彼は五感を使ってあらゆるものに触れ直し、自分が何を認識したのか理解しようとし始める。そして、試行錯誤の末にリンゴが「赤くて、丸いが完全な球体ではなく、触るとやや冷たくて、少し艶がある」ものであることを理解する。
一度理解してしまえば、もう試す必要はない。だからNiは確信的で、収束的なイメージなのだ。いつどんな場所で見つけたとしても、彼はそれがリンゴだということがわかる。触れてみなくても、それがリンゴであることは間違えようのない事実だからだ。そうやって茫漠とした世界を単純なパターンとして認識し、余計な試行錯誤を減らしていく。
Niは確実に起こる未来を予測することにもつながっていく。例えばリンゴから手を離すと、リンゴは地面に落ちる。何度やっても同じことが起こる。そのことから、彼は「リンゴから手を離したら地面に落ちる」という未来を予測することができるようになる。予測ができ、それが確実に発生することなら、それは事実である。
だからNiの強い人間は、あるものに対して一つの明確なビジョンを手に入れる。Niを持つ人間が確信的で意志が強いと言われるのはこのためだ。
SとNの対比関係とは
Sは具体、Nは抽象である。Sによる試行錯誤や過去の経験から未来を予測したり可能性を見出すのがNである。だからSとNは対比関係になる。
さらに、過去の経験から様々な可能性を見出すのはSi-Ne、今起こったことの積み重ねで確実な未来を予測するSe-Niだ。これらの機能は互いの欠点を補い合う関係になる。
Si-Ne軸であれば、
Siが優勢な人間は慣れ親しんだ同じことをし続け、過去に起こったことを重視する。積極性は低いが、確実で慎重である。
NeはSiから生まれ、様々な可能性を想起する。Neはまだ試していないことをやるためのエネルギーになる。Neが強い人間は好奇心旺盛で積極的だが、そればかりだと過去を軽視しがちである。
Se-Ni軸であれば、
Seが優勢な人間はまだ試していない行動をとりたがり、今起こったことに集中する。積極性が高いが、不安定で衝動的だ。
NiはSeから生まれ、確実性の高い未来を想起する。Niは試行錯誤の回数を減らし、人を正しい方向に向かわせる。Niが強い人間は慎重で目的が明確だが、現在のことを忘れがちである。
以上がこの記事のまとめになる。MBTIの解説サイトに書いてあるような内容に落ち着いたが、文章を丸暗記するよりは本質的な理解がしやすく、覚えやすい解釈ではないかと思う。
余談になるが、Siから生まれるNeを支えるのはTiかFiだ。Neは事実を積み上げていく演繹法である。客観的に正しいことを論理的に積み上げて別の可能性を模索するならTi、そのとき自分が嬉しいかどうかを真実とするならFiだ。だから第一機能がNeであるタイプのうち、ENTPの第二機能はTiで、ENFPの第二機能はFiなのだ。
同様に、Seから生まれるNiの根拠になるのはTeかFeである。Niは帰納法だ。外界で同じようなことが何度も起こることを理由にするならTe、誰に適応しても嬉しいということを根拠にするのがFeだ。故に、Niが第一機能であるINTJはTeを持ち、INFJはFeを持つ。
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