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1番笑った話

あれは陸上部のマネージャーをやっていた高校生時代、他校との合同合宿中。他校の女子が砲丸(鉄の球。4キロ)を投げた瞬間にしっかりめの放屁。間髪入れず「やだ恥ずかしいもうお嫁に行けない!!」と叫び両手で顔を覆った。

ベタすぎるアクシデントなのは百も承知。そして下品でごめん。

投擲の練習場だったため男女比が9:1だったこと、砲丸を投げるというわかりやすく体に力がこもる瞬間に放屁したこと、即座にあの台詞が飛び出すポテンシャルの高さ、すごく日焼けしていてサングラスをかけている強面の他校の顧問が「おい!尻やぶけてねーか?」と言ったこと。

今思い出してもお腹の底から笑いが細かい震えになって沸き上がってくる。何千匹もいるように思えた蝉の声、日陰もなくて干からびそうなのに地面の芝生は青々と艶がありみずみずしくて、そこから立ち上がる熱気の匂いまで全てしっかり蘇ってくる。

その発端となった女子(他校。初めて会った)と同校のマネージャーと私の3人で芝生の上をころげまわって長らくの間ひたすら爆笑した。涙出るし肋骨もねじれそうで腹筋も引きちぎれそうで息も吸えなくて死を意識。それでもずっと笑いがとまらなかった。

文章にすると面白さが伝えきれないかもしれないのが悔しい。あれから17年経つけど折に触れて何度も思い出しているのにその都度本気で面白い。

「人生で1番笑ったことって何?」と質問すると答えられない人が多いけど、私は絶対これ。一緒に芝生の上をころげまわった同校のマネージャーとは、未だに「あれ以上の笑いはない」と言い合ってる。人生で1番笑った思い出を共有できてること、なんか嬉しい。

学生の頃は大笑いすることが多々あったけど大人になってからはなかなかないものだな。いや、そうでもないか。結構笑ってる。でもあんな日差しの中で芝生の上をころげまわることはもうないかな。
思いもよらずしんみりして終わり。

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