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オードリーANN東京ドームのチケットを、前日深夜1時に満を持してリセールした話

2024年2月18日(日)、28歳女1人で東京ドームへ行った。

ANNが大好きという気持ち、
漫才師が東京ドームをどう使い倒すのかわくわくする気持ち、
とにかく一夜しかない伝説の瞬間をこの目で見届けたいという気持ち。
高まる期待を胸に席に座った。

でも、チケットを買ったときは、そんな気持ちを超える思いがあった。


ーあなたと一緒に伝説の時間を楽しみたい


1人で行った東京ドーム。本当はもう1人一緒に行く人がいた。

私を振った男だ。


出会いは2023年夏。
マッチングアプリに明け暮れるも疲れて、そろそろ辞めようと思っていた。

そんな中飛び込んできた「ラジオ関係者」という職業の文字。

日常を深夜ラジオに支えてもらっている私にとって、憧れの文字だった。


メッセージのやり取りがそもそも好きではない私が
数ラリー目にごはんに誘うと快諾。

私の気持ちが一気に高まったのはその直後だった。

もともと会う前にLINE交換するタイプが嫌いなほうだったが、
その男から提案があり、お店選びの前にLINE IDをもらった。

怪しい人間ではないか、名前やアイコンを見て決めようと読み込んだ。
ありがたくも本名で登録されていた名前をすぐにググると、
知っている演者の番組や作品名がずらりと引っ掛かった。

ちょっと待てよ・・・

本名では気づかなかったが、しっかり名を馳せていそうな人間だった。

私はそのとき、

エンタメやラジオが好きな私にやっとご褒美がきた

これで疲労困憊のマッチングアプリ生活を辞めれる

絶対にこの人と付き合いたい

と思ってしまった。

日程やお店を決めてから初めて会うまでの数日、
彼が作っている自分が知らないコンテンツをとにかく見て聞くまくった。
どんな話になっても、全部合わせられるようにしたかった。
期待と尊敬とテンションがすべて上がっていった。

そして初めて会った日、とにかく話が合って楽しかった。
数時間があっという間だった。

これが世間が言う、「ビビッときた」という運命だ!と思った。

まさに恥ずかしながら、年齢も顧みず「恋は盲目」状態だったと思う。


2回目にご飯に行ったとき、
オードリーの東京ドームライブの話になり、
息ぴったりで「応募しよう!」となった。

その時、本当に嬉しかった。
まだ付き合ってもないのに、2月のライブの約束をしてくれるんだ。
ということは、この人は2月まで私と一緒にいてくれる気でいるんだ。
こんなに気が合って、話も合って、やっぱり運命だ。

夏の終わりの私は、
ドーム前でおそろいのTシャツを着て自撮りをする幸せを描いていた。


そして、願った通り付き合った。


一緒に応募した中、チケットをあてたのは私のほうだった。
LINEで当選報告すると少しそっけない短文での返信だった気がするが、
オードリーを見る権利、2月まで幸せな確定権利を得たと思った。

そこから1か月ほどカップルとして過ごした。

思えば違和感はたくさんあった。
けど、私のよくないところが出て、全て見過ごしてしまった。
「会いたい」も「電話したい」も、いつも気を使って言いにくかった。
一緒に入れるだけで幸せなのだ、と思いたかったのかもしれない。

寒くなってきた最後のデートの日、楽しかった1日のはずなのに
マンションのエレベーターに乗るときに涙が出そうになった。
寂しいからではなかった。
きっとあの人は私のこと好きじゃない、と分かってた涙だった。


そしてある日、会社の飲み会中に電話がかかってきた。
その日は出れないと連絡したが、やけに次いつ電話できるかと聞いてきた。

理由はわからないけど、言いたいことはもう分かっていた。

しかしその週は運悪く忙しく、
結局私の出張中に別れ話を切り出されることとなった。

だが、私は思ったより冷静だった。

しかしその冷静さは、別れを受け入れるではなく、
考え直させられる、ここで引くな、という謎の気持ちだった。

相手からしたら結局冷静ではなかったかもしれないが、
口下手な私にも関わらず、珍しく考えながら一緒にいたい思いを伝えた。

だけど、変わらなかった。

こいつ、思ったより意思が強いな。

でもこんな意思が強いからこそ、独特な仕事で実績を詰むんだとも思った。

途中までは気を使って話してくれてるのも分かったが、
最後は私に呆れたのか、久々にあんな冷たい物言いを人にされたなと思う。


こうして別れた。運命なんてない、冷静になれ。と強く学んだ。


今まで人と長く付き合って別れても、落ち込むことがほぼなかった。
しかし人生で初めて、食事がのどを通らないという状況になった。

たかが数か月なのにばかばかしいと自分でも思う。全部早まった。

その人が好きだったのか、作っているコンテンツや環境が好きだったのか、
今思えば全部ぼんやりとしてきて、反省と悔いと申し訳なさがある。


もらったものは即全部捨てた。関連してる番組も全部履歴から消した。
残ったのは、オードリーのチケットだけだった。


オードリーのチケットは特に転売や名義確認に厳しい噂が頭をよぎった。
あの男の身分証がないからには、知り合いに譲ることもできない。

いや・・・私があの男名義のチケットも持っている。
ということは可能性はとてつもなく低い、かつ違うルートがありそうだが、
あの男がチケットを再入手しようと個人情報入力をしたとき、

私がチケットを持っていれば、名義重複で買えないのではないか?

という本当に姑息な、小さな嫌がらせが浮かんだ。


そして私は、せめてもの無念を晴らそうと
当日ぎりぎりまで絶対にリセールしないことを決めた。

こうして私は、前日深夜1時までと長い時間待ち、こっそりかつ満を持して
「善良なリトルトゥースよ受け取ってくれ」
という気持ちでリセールにかけ、15分くらいで取引完了通知が届いた。


当日会場に着くと、私が引き当てた席はまさかの
「パノラマソファBOX」と呼ばれる、通常金額なのにVIP的な席だった。

この席引き当てる強運ないい彼女をなくして、かわいそうだなと思った。

他のライブでも引き当てた際の同じ席イメージ

私のリセール席を引き当てたのは、開演ぎりぎりでやってきた男だった。
誰にも会わないようにすっぴん帽子で会場に座っていた私は
話しかけることもできず、何も生まれなかった。(期待するな)

私の席より、その人の席のほうが柱に被らずよく見えたと思う。
前日深夜まで粘り続けて勝ち取ったリセール席がVIP風席だったことに、
見知らぬあなたが少しでも喜んでくれてたとしたら、私は報われます。


そんな思いを抱えながら始まった東京ドーム公演。素晴らしかった。

自分の信じた道を突き進み続け、多くの人に愛される姿は最高だった。
そしてスタッフ陣にもたくさんスポットライトが当たっているところに、
オードリー2人の人柄の良さを感じた。


あーだこーだ、という感想も言えないまま、終演後すぐに会場を出た。

もしまたいつか、オードリーの一世一代の大勝負の場があったとき、
私は必ず、最高に大事で、大事にしてくれる人とともに雄姿を見届ける。


果たして東京ドーム5万人の中、こんな思いの人が他にいるだろうか。
そして数々のリセールチケットの裏にはどんな思いが眠ってるのだろうか。


カウントもできないくらい早く散ったこの恋愛はもう一生思い出さない。
けど、オードリーのライブの素晴らしさは忘れない。


いろんな思いを抱えた、28歳女の東京ドーム参戦記でした。

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※バレ防止のため、ところどころ近しい固有名詞や流れに変更しています。(意味あるのか)きっともう二度と会うことはないし、いろんなものがいずれ合わなかっただろうし、ご縁がなかった。貴重な経験と学びをくれてありがとうございました。


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