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令和時代の母乳神話について

自分の助産師時代のスタンスとして母子ともに心身ハッピーであればどんな育児でもいい、というのが私の考えだった。無理に母乳じゃなくてもいいと思っていたし、ミルクで育てたいひともいるしこの時代においてミルクでも栄養的には全然問題ないと思っていた。栄養的には初乳さえ飲ませられれば万々歳じゃないのかな?と思っていたし、今もその考えはほぼ変わっていない。

助産師はやっぱり母乳推進派の人が多いのが私の肌感。そりゃそうなんだけど。だって助産師になる上でそういうカリキュラムの組み方だし、母乳は良いって歴代の助産師である教師が教えているのだから。いや、確かに母乳がいいのは分かりきってるんだけどさ。栄養的にもコスパ的にも。

私は、預けて自分の時間を作りたいから母乳とミルクの混合がいいかなと当初考えていた。ただ、結果として母乳分泌が良すぎて乳腺炎を起こすくらいの量だったのでおっぱいを飲んでもらわないと胸が痛くて逆に辛く、完母となった。でもこれは結果論。

助産師時代の知識があっていざ授乳をしてみると、わたしは母乳が絶対いい、とはどんどん言い切れなくなっている。そりゃあ自分の肌と赤子の肌をくっつけて飲ませる行為はなんだか神聖なことのように思えたりもするんだけど、最近の夜間の授乳では「なんでわたしだけこんな夜中に起きて睡眠時間削ってるんだろう」という気持ちになったりする。夫が育児や家事を当たり前のようにしてくれていても、だ。

完母の場合は自分が授乳できないとなると代わりがいない。自分が搾乳しないと他人が乳をあげることはできないし。完母だと授乳期間中は夫と赤子2人で遠出は出来ない。だからどこに行くにも赤子と自分がセットで行動しなくてはならず、たまあに夫が身軽にちょっと出掛けてくるね、という行動に腹が立ったりする(夫にはその辺りの不平等さに腹が立つことは伝えているから、それ以外のことはめちゃくちゃ一緒にやってくれるしなんなら抱っこの時間は私より長いと思うということはことわっておく)。

母乳神話があるから男性が育児に余計に参加(てゆか一緒に家庭をつくるのに参加って何って感じなんだけど語彙力ないからこの言葉しか出てこない…)しにくいんじゃないの?と思ってしまう。なんとなく授乳は男が入りにくい領域だっていうのも分からなくないし。ミルクでの授乳だったとしてもね。夫はそれだけは自分にできないから悔しくて羨ましいと言われたし、それはそうかもしれないんだけど、わたしだって夜通し寝たいし、自分が授乳しなきゃ赤子が死ぬって思いながらやり続けるのはしんどいんじゃ…!!

愚痴モードになってしまった。

つまり助産師側の視点も長年の教育に変化がなくて、もうすこし時代に合わせていったほうがいいんじゃないの?って思う日々なのですよ。母乳マッサージしに助産院行くたびに考えさせられる。ミルクで育つ子が悪みたいな、、それで助産師が意見偏って視野狭めてるから世の中の母が苦しくなってるのもあるんじゃないのって。私は今からでもミルクと混合にしたいのにそんな相談出来る空気じゃなくて、それってプロとしてはどうなんだろうと思っちゃう。助産師は授乳の相談口になるプロなんだから、幅広く選択肢を与えられるひとであって欲しいと思ってるよ。

母乳推しの助産師じゃない人も世の中にはたくさんいるんだろうけどね、いろいろ難しいね。