五感に付随する記憶について

こんばんは。水曜担当永田です。
私はApple Musicユーザーです。

理由はiPhoneユーザーだから、とまんまとApple社の思惑にはまっている。
学生割引があり正規より若干安くなり、使い勝手もさほど悪くないので気に入っている。

先日、Apple Musicで今年聴いた曲を振り返る、という機能が出てきた。
自分はSNSで知ったのだが、どうやらトップアーティストやトップソングが順位がつけられて羅列するらしい。

自分が聞いている音楽を客観視することは、あんまりない。
どちらかというと、音楽を聴くときはかなり主観的だと思う。
朝ダリィから激しめ邦ロック、とか。
落ち着きたいからショパンかな、とか。

だから自分も、自分がどんなのを優先的に聴いてるのか気になって
心どんどこワクワクしながら早速見てみようとした。

やり方がわかんない。

なんか、
【リプレイ:2023年】
っていう項目が追加されてる。
一応見ると、総じてよく聴いた曲が並んでいる。
最近の曲がほとんどなく、なんなら去年【リプレイ:2022年】と大差ない。誰がこの項目を見ても「こいつは流行りに疎いのだな」と分かる。

そう云う話ではなくて。
永田が見たいのは、トップアーティスト、とかトップソングなわけである。
総じて、よく聴いてた曲を見たいわけではなく、
この曲何時間聴いてた、このアーティスト順でよく聴いていたとかそう云うのが見たい!のに見れない!

見たい欲があり、他の人が見れているのに、自分だけ見れないのは
とっても悲しい。

検索してもやり方わかんない。

画面をスクロールしたり、タップしたりしているうちに
『サイトを見る』
と云う項目が出た。

これじゃない?!と思って勢いよくタップする。

指紋認証。

アプリを出てブラウザの方に飛ぶ。

This is your Replay.

This is your Replay.の文字が浮かんでは消える。
タップもスクロールもない時空に飛ばされた。
「これがあなたのよく聴いた楽曲だよ」と言われるだけで、
文字通りなんの音沙汰もない。
煽られてる。見たいものをまともに見れない永田を煽っているのだ。

これはあれだ。
欲しいものをねだると、「いい子にしてたら用事が終わった後で買ってあげる」と言われて、いい子にしてる間に用事が終わり、買うこともなく家に着いてるあの時の感覚である。

虚しい。
欲しいと思ったものは、Amazonで注文するなり、他の人に聞くなりで
案外すんなり手に入る最近のこの世の中で、
こうまでしても叶わないことがあるのは、結構きつい。

でも小さい頃は、そんなことザラだった気がする。
だから、電車で親を困らせているちびっ子を見ると
あんな子供の道理に反した不条理が起きてたら、
そりゃ泣き喚きもするわなぁと、思う。
同情。双方に。


若干話が変わるが、
最近、タブレット端末を持っているお子さんをよく見る。
それを見ている限り、お子さんは静かでおとなしい。
分かるー。タブレット端末は見ちゃうー。それで時間が溶けていくのー。
退屈な時にはもってこいなスーパーアイテム。

しかし残念ながら、自分がそれぐらいの歳の時には、それはなかった。
小学生低学年ぐらいでウチにようやくiPodがやってきたぐらいだ。
じゃあ自分が小さい時、何をして暇を潰していたかというと、
やはり音楽を聴いていた。

(話が戻った。

当時、住んでいた岩手のマンションにはオーディオコンポが置かれていた。
そこから、
小野リサ、劇団四季の『美女と野獣』、子供番組のBGM集、メロディは覚えてるけど曲名がわかんないナニカ、、、

今でも小野リサを聞くと、当時のマンションの間取りを微かに思い出す。
そしてソファーの革をハサミで切り裂いて怒られたことなども同時に思い出す。

車でも同様の曲を聴いていたため、目的地への道すがらの景色も思い出す。田沢湖近くのハチミツ屋さん、近くの温泉に行くまでの両脇の田んぼ、その温泉のゲームコーナーで取ったあわ玉やいちごみるくの味、親の実家へ行く高速道路の去っていく景色のスピード。

去年、その記憶微かな田沢湖近くのハチミツ屋さんへ行くことがあった。
違う店と思い違いをしているのではないかと、不安だったが、ちゃんと記憶通りだった。
店内に入って見回すと、そこで何を喋って何を思っていたのかを、思い出した。
これには感動した。
(そして新たな記憶を追加してきた。今度行った時が楽しみ(^^)

そう考えると、当時聴いていた音楽から記憶や視覚情報まで思い出すのは
脳すご。やば。えぐ。
そんなことにメモリを割いてるから最近、数字を覚えられなくなっているんだよ、と思うけど、このメモリ、意外と大事な気もする。


一方、嫌な思い出に音楽が付随していた場合。
自分は高校生の時バイトをしていた。
場所はホテル。結婚式の二次会や、会社の宴会などで利用されていたため、
宴会会場設営や、料理を持ってくるなどのバイトで入っていた。
高校生バイトの割に時給が良く始めたが、時給が高いなりの理由があった。
まず肉体的にハード。大きな皿に盛られた料理や大量の瓶ビールを持って行くため、腱鞘炎寸前。次に、お局様による要領の悪い永田へ精神攻撃。

バイトの行き帰りでは
自分を鼓舞するために、当時ハマっていた椎名林檎を聴いていた。
そして辞める決断をして最後の出勤日、
入っていた現場で行われた結婚式の二次会、調子に乗った参加者、大リバース。
今でも椎名林檎を聞くと、微かに麦芽と酸の匂いを感じる。


思い出すきっかけは
音楽だけではない。

ある日の夕方、散歩していた時、とある家から匂いがした。
きっと夕食を作っていたのだと思う。
その家は自分の知らない他人の家だったが、似てる匂いをよく嗅いだことあるなぁと記憶を辿っていると、
その匂いは祖母の台所の匂いであることを思い出した。

その匂いは
煮干しで出汁をとった、味噌汁の匂いとそっくりということが
後の家庭科の授業で判明した。

祖母はもう料理をしない。

だから、当時を思い出すには煮干し出汁の味噌汁を作る他ない。

小野リサをコンポでかけて、
いちごみるくを舐める他ない。


聴覚、視覚、嗅覚では記憶とのつながりは見えたが、他の感覚はどうなのだろう。
味覚、ありそう。永田が自覚してないだけでかなりある気がする。
触覚。どうだろう。
はっ!この触れ方は、、、!
ぶわぁ)
この人だ!
みたいなのあるのかな。

携帯電話があることで、聴覚的情報や視覚的情報が他人と共有することが容易くなっている。

人がものに触れた時の圧力をデータ化して転送し、それをデバイスで復元する、みたいな感じで(説明があっているのかよくわからない😀)
触覚も共有できる域に達していると思っている。

次に携帯電話にプラスされる五感を、一人、ひっそり楽しみにしている。

永田那由多




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