麻雀Q&A第5回「何故東西南北ではなく東南西北なのか」

 覚えたての頃に四人で卓を囲んで麻雀を打っていて、何かおかしいと思ったら打牌する順番が逆回りだったという経験をされた方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。実は私は覚えたての頃どころか、つい最近もやらかしてしまいました。

 こうしたミスを犯しがちな理由は、①「麻雀は反時計回りで進行するが、多くの卓上ゲームは時計回り」②「時計回りにすれば、東南西北の方角と一致する」というところでしょう。では何故麻雀は反時計回りに遊ぶのでしょうか。そして何故、方角と一致しない「東南西北」の順番なのでしょうか。

麻雀が反時計回りなのは、麻雀の前身であるゲームも反時計回りで遊ばれていたから

 麻雀は中国で生まれたゲームですが、その前身として、「葉子戯」なる遊びが唐の時代に成立したとされます。麻雀のように牌を使って遊ぶものですが、当時はまだ「東南西北」の風牌はありませんでした。大昔のことなので確固とした資料もありませんが、そのゲームも麻雀同様反時計回りで遊ばれていたので、麻雀もそれに合わせて反時計回りに進行するようになったと考えられています。

反時計回りなのは、実は左遷を嫌がったため?

 では何故反時計回りだったのか。反時計回りということは左回りなので、親番は右に移動することになります。これも確固とした資料があるわけではありませんが、古代中国では左方向に移動するのは左遷、左降といって格下を意味しました。そこで親の移動には左遷を嫌い、右に移動したのではないかという説があります。少なくとも子供が親になるのは出世には違いありません。そこで親の移動が右方向に続くと、結果的には左回りとなります。

「東南西北」は風位の優劣順

 麻雀が誕生して、風牌が採用されるようになったわけですが、風牌の順番が、「東西南北」ではなく「東南西北」なのは、風位の優劣順に並んでいるためです。太陽が東から昇るので東が最も偉く、南は暖かいので2番手。日の沈む方角である西が3番手で、北が最下位。「敗北」という言葉があるように、北には「逃げる」といったネガティブな意味合いもあります。東が一番偉いので、麻雀も親番は常に東家。東南西北を反時計回りに並べたので、結果的に方位と逆になったのであります。

現在は風位が局の進行の度に変わる変座法が採用されているが、風位が変わらない定座法で進めるルールも存在していた。

 親番を常に東家と定めたので、局の進行の度に東家が入れ替わります。これを変座法と言うそうですが、「東南西北」を方位と捉えるのであれば、東の位置が毎局変わるのも不思議なものですね。実は風位が変わらない定座法というルールもあったそうですが、日本に麻雀が伝来した時は変座法だけが伝わりました。自風が変わらない定座法の方が、毎局自分の風を確認する必要がないという点では楽ですね。

時計回り、定座法にして、東1局を1年春とするルールを提案したい

 私は麻雀のルールについて、主流となっているものについてはそのままでもよいという立場を取りますが、こうなったらいいのにという希望もあります。麻雀のルールがややこしい例の一つとして、東場東家といった、場と家両方に風位を用いていることが挙げられます。

 麻雀のゲーム進行を時計回り、定座法にすれば、東に座っている人が常に東家となり方位と一致します。

 そのうえで、東南西北家から始まる局をそれぞれ、春夏秋冬で表すというのはどうでしょうか。春=青春 青龍=東の神 夏=朱夏 朱雀=南の神 秋=白秋 白虎=西の神 冬=玄冬 玄武=北の神 というように、東南西北がそれぞれ中国の四神と対応しています。ゲームデザインとしても優れたものになると思うのですがいかがでしょうか。


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