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デュプリケーション~麻雀を生み出した画期的な概念

 カードゲームは①トリック系②ラミー系③ストップ系④カシノ系⑤ギャンブル系に分けられますが、全体の割合は①が50%②③が15%④が5%、残り15%が⑤「その他」扱い。数が多い方から順に並べたものですが、時系列で言えばラミー系は最も新しいジャンル。麻雀の成立時期は19世紀とされていますが、ラミーの名のつく、「ラミーキューブ」の成立時期は1930年代。

 ラミー系ゲームの代表作の一つである「カナスタ」も成立時期は1930年代。カードゲーム全体の歴史から言えば、やはりだいぶ新しいと言えます。

 ちなみに「カナスタ」の生まれは南米のウルグアイ。麻雀は1920年代に欧米でも大流行したという経緯があるので、裏を返せばこの時期に麻雀が流通しなかった地域で、麻雀牌を用いない麻雀のような「ラミー系」のゲームが定着したとも考えられます。

 ラミー系ゲームの成立時期が他のジャンルに比べて遅い理由。それは、麻雀の元になった「馬吊(葉子戯)」は1組40枚。「トランプ(プレイングカード)」は1組52枚+ジョーカー。手札を組み合わせることを競うラミー系ゲームを遊ぶにはカードの枚数が少なく、同種札の枚数を増やす「デュプリケーション」が行われるようになるまで登場を待つ必要があったからと言えます。麻雀牌は花牌を除くと、「34種136枚」ですが、ラミーキューブやカナスタは、ジョーカーを1枚加えた53枚のトランプ2組「53種106枚」で遊ばれます。

 トランプ1組で遊ばれるラミー系のゲームと言えばセブンブリッジですが、こちらは麻雀を元にした日本生まれのゲーム。ラミー系なのにトリック系のブリッジの名がついていることからも、日本におけるラミーの知名度の低さが知れると共に、それだけ麻雀がラミー系ゲームとして日本国内で普及していることが伺えます。

 「麻雀の元になったゲーム」リンク先によると、「馬吊」が遊ばれていた時点で、様々な形式のデュプリケーションが行われていたことが分かります。ラミー系以外でも、多人数で遊ぶためにトランプを2組以上用いる例がありますが、麻雀の成立以前からラミー系としての遊ばれ方もされていたと考えられます。「卵が先か鶏が先か」ではありませんが、少なくとも「麻雀牌が先か麻雀(ラミー系)ゲームが先か」であれば後者が先と考えるのが自然。当時どのような遊ばれていたのかが気になりますが、現在歴史的資料が見つかってない模様。誰もが知っているゲームなのに歴史的背景がよく分からない。これもまた麻雀の魅力の一つかもしれませんが、麻雀の歴史を刻みたいと思う私としてはちょっと残念に思うのでありました。

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