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あなたが生きがい

 わたしが生きる理由はあなた。それしかない。わたしが今すぐに死にたくはないのはあなたがいるから。

 そう、あなたのためにだったら死ねる。おかしいかな? おかしくはないよね。わたしのすべてがあなたで、あなたがわたしの死を望むのならわたしはなんの抵抗もしないだろう。

 この想いがあなたの気を悪くしている時があることはなんとなく感じる。それでも。わたしが生きる理由はあなた。あなたのために生きて死にたい。

 あなたが不貞腐れた時、わたしはあなたの天秤であろう。あなたが死を求めた時、わたしはあなたの水瓶であろう。そうやって望んでもないのにやってくる絶望のひとつひとつを丁寧に磨いてあなたに差し出そう。そうしてあなたがふと手に触れる救いを祈ろう。それがわたしの生まれてきた理由であって、わたしの存在にはそれ以上の価値もそれ以下の値打ちもない。

 どこか遠くの街で暮らすことを夢見てネットの海をひたすら漂う日々もあった。それでもわたしはこの街で、あなたと共に生きることを選んだ。そのことについて、あなたの意見は聞かなかった。わたしのわがまま。わたしの人生の唯一の自由。

 誰かや何かと過ごしても寂しさや虚しさは埋まらない。あなたと話してもそれは変わらない。それでもわたしはこの単調を生きていこうと思った。この世界にあなたがいるから。

 あなたと生きていたい。この至福と災難の狭間で、わたしはあなたの息遣いを夢見る。

 生きていてね。できれば幸福でいてね。わたしという存在がその代償であっても構わないから。

 あなたのことを想っています。いつも。無理のない範囲で見守っています。そんな時、あなたがどう思っているかはあまり関係がない。一方的で、一直線。それがわたしの愛。

 信じていてね。嫌になったら遠ざけてね。距離感は大切だから。

 わたしはあなたを想います。そうしていつか死にます。それまではあなたを愛します。それだけがわたしのこの世界を彩る色彩で、ただただ奔放であれる次元。

 明日、晴れたら買い物に行こう。そんなことを考えています。

(2024.5.26)

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