Mr.Children - Brandnew my lover
ミスチル好きの相互フォローさんが増えてきたので改めてミスチルについて書いてみようと思って今、メモアプリを開いている。
僕はプロフィールにミスチル大好きと書くくらいにはミスチルが好きだ。ファンになって約20年間、どれほどに聴いてきたのかわからない。
人生のさまざまな場面を彩ってくれたミスチルの音楽。至福の最中にも、絶望の淵に立つ時にも、ささやかな日常の片隅にも、いつもミスチルがいてくれた。
そんな折、ミスチルの中でも異色の作品を取り上げたいと思う。『Brandnew my lover』。
"Brandnew my lover
モザイクの身体
存在自体がもうすでに意味深
Brandnew my lover
Fuckする豚だ
始めようよ 愛欲のA.B.C"
この楽曲は『BOLERO』というアルバムに入っている。ミスチルのアルバムはすべてそうではあるけれど、『BOLERO』もやはりとんでもないアルバム。メガヒットした『Tomorrow never knows』や『シーソーゲーム 〜勇敢な恋の歌〜』、『Everything (It's you)』や『【es】 〜Theme of es〜』なんかも入っている。誰もが一度は耳にしたことのある楽曲があるのではないか(世代にもよるとは思うけれど)。
ベストアルバムのような風合いさえ感じさせる『BOLERO』だけれど、やはりアルバムとしてのアルバム曲も光っている。そのひとつが『Brandnew my lover』。
この楽曲はツアーでも演奏された。フロントマンの桜井和寿さんが謎のカプセルの中に閉じ込められながら歌い、悶えるようにそこから這い出て、身をくねらせながら歌うその姿は、ある種の自傷行為のようにも見える。
この楽曲に出会った中学生の頃、その歌詞の意味が理解できていたかは甚だ怪しい。それでもお気に入りの一曲ではあった。何か得体の知れない魅力に取り憑かれてしまったのだ。
耳をつんざくようなギターリフ、荒々しいドラミング、うねるベースライン、異世界のような電子音、妖艶に喘ぎ泣き叫ばんとするかのようなボーカル、そのすべてに魅せられた。
大人になって思う。人気絶直の最中、こんな楽曲をリリースする必要などあったのか?
あったのだろう。わざわざツアーで大観衆の前で歌い狂う必要もあったのだろう。これは一種のサイコセラピーであったのだ。
"見え透いた嘘もいい
優しく殺してくれ"
空前の大ブレイクを果たし、富も名声も手にした心境で、優しく殺してくれと叫ぶひとりの人間。その姿は見方によってはおぞましく、滑稽で、空恐ろしく、空虚だ。しかし、人間にはこんな感情もある。こんな状態がある。
この楽曲はフィクションだろうか? どうだろう。仮にフィクションであれ、桜井和寿さんの精神状態に異変があったことは、前作『深海』からも感じ取れる。
"今じゃ死にゆくことにさえ憧れるのさ"
そして桜井和寿さんは、最新アルバム『miss you』でもこう歌っている。
"何が悲しくって
こんなん繰り返してる?
誰に聴いて欲しくて
こんな歌 歌ってる?
それが僕らしくて
殺したいくらい嫌いです"
桜井和寿さんにとって死とはなんなのか。死にたい、殺されたい、殺したい、Fuckしたい、そのすべてが紛れもない人間の感情。そのギリギリのラインまでを全身全霊で表現し尽くそうと試みる桜井和寿さん。そこにしびれるし憧れるのだ。
人間は醜い。そして美しい。そのすべてに愛とエールを。僕はそんな大切な想いをミスチルから受け取っている。
"Brandnew my lover
もう壊れそうだ
愛してるなんて言わないでくれ"
桜井和寿さんはそう言うけれど、僕は桜井和寿さんを愛しています。心から。本当にたくさんの感情をありがとうございます。いつまでもお元気で。これからもよろしくお願いします。
(2024.5.27)
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