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八丈島民が「鬼滅の刃」蛇柱の面影を八丈島に探す。

推しは蛇柱です。よろしくお願いします。

「推しの声帯を持っているから」「おばみつが私の大好き黄金パターンCP」ですでに決まっていたようなものなんですがガンギマリするのが怖く、おそるおそる距離を取っていたところ友人から「大変!蛇柱が八丈島出身だって!」という連絡がきた瞬間悪あがきをやめました。縁だと思います。推しは蛇柱です。よろしくお願いします。

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といっても蛇柱こと伊黒小芭内が八丈島出身というのは本編での言及になく、2019年7月に集英社から出ているファンブックに書いてあることなんですよね。まあでも公式ということでいいんだと思います。

この本の蛇柱のページに、「出身:八丈島 八丈富士(西山)」とあります。まだ本誌で蛇柱の掘り下げがなんにもなかった状態でこの情報が載っているってことは、「八丈島由来のエピソードが今後あるということでは……?」と思って本誌を追っていました。なにか由来がないとわざわざ使わない地名ではないかと思ったので。が、知りたくない気持ちもあった なぜなら鬼滅はキャラの掘り下げが始まると高確率で死ぬから……

いよいよWJ本誌で蛇柱の生い立ちが出てきて、「ああああーーーーーー」となったのはまあ置いといて、せっかく今住んでいるところの話だということですから、現在の八丈島に伊黒さんの面影がないか、手持ちの写真を探してみました。(※なお、記事中のイラストは拙著八丈島エッセイ「流されて八丈島」から引用しています。)

※ここから先は2020年7月現在、「鬼滅の刃」コミックスにまだ収録されていない部分のネタバレが含まれます。WJ本誌で既読の方のみどうぞ。また、原作の重箱の隅をつつきたいのではなく、好きキャラとの接点を探したいオタクの業ゆえの記事とお考え下さい。考察としてはゆるゆるです。


八丈島とはどこか。

まず、八丈島の位置ですね。東京から南へ287キロメートル、数字ではピンと来ないと思いますが小笠原諸島と東京の間に位置します。離島です。

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今でこそ羽田から飛行機に乗ると45分、船に乗ると10時間半ほどですが、鬼滅の時代は来るのがもっと大変でした。鬼狩りがそうそう簡単に来られるところではないので、あの蛇鬼はかなり長きにわたって好き放題してたんでしょうね。無惨様が船で来て島民を鬼にしたのか、鬼が密航とかして八丈島に来たのか?無惨が青い彼岸花が南の島にあるんじゃないかと思った、というのが考えられますね。温暖な気候の八丈島はいつも花がなにかしら咲いています。

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炎柱(あれは槇寿郎さんでいいんでしょうか)もよく来てくれたなあと。鬼殺隊の活動範囲、広かったんですね。

伊黒さんが生まれたのはどこか。

ファンブックにて、伊黒さんの出身と明言されている「八丈富士(西山)」。

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この山が八丈富士です。八丈島は「八丈富士」と「三原山」がくっついた形をしており、「ひょうたん島」と言われたりもしますね。この八丈富士は徒歩で登ることができます。標高853メートル、上るまでの所要時間は1時間半程度、山頂をぐるっと回る「お鉢巡り」もできます。登山道も整備されているためハイキング感覚で登れる山です。それほどハードではないので、伊黒さんに思いを馳せながら登るのにはなかなかいいと思います。

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八丈富士から見た景色。海が広々見通せます。

ただ、山自体はあまり民家があったような地域ではなく(過去に何度か噴火している山ですし)この近辺に伊黒さんのご実家のお屋敷があったような雰囲気は薄め。空港や市街地が集中しているのは、八丈富士と三原山の間にある平地です。

島内に伊黒家屋敷っぽい建物がなかったっけ?と考えてみました。原作中で描写されていた伊黒家は練塀に瓦葺きの豪華なお屋敷。八丈島で瓦葺きのおうちってあんまり見た記憶がありません。八丈島の家はトタン屋根めちゃおおい。あるいはコンクリート作りか。台風がきたら瓦は吹っ飛ばされてしまうからでしょうね。八丈島の古写真を見る機会が何度かありましたが、その中でも瓦葺きに練塀のお屋敷は見た記憶がないです。

八丈島の昔の建物が保存されていた「ふるさと村」という場所があったのですが、先年火事で焼失してしまい……

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これは12年前(2008年)に取材で行った時のふるさと村の写真。民家の再現なのでお屋敷という感じではありませんが、茅葺きですね。高温多湿ですからね~八丈島。なお、写真の中でお姉さん二人が着ているのが八丈島特産の織物「黄八丈」です。なかなか高価な絹織物なので、伊黒さんのお身内が着ていた可能性も。今でも反物屋さんで買うとえらいお高いです。

あと昔の建物が伺えそうな八丈島内のポイントは「服部屋敷」「長戸路屋敷」ですが、「服部屋敷」も昔の建物がそのまま残されているわけではなく。「長戸路屋敷」の方は観光向けに開放されていないので写真がありませんが、瓦葺きのお屋敷ではないそうです。八丈島に流されてきた宇喜多秀家が住んでいたという家がどこかも分かっているようですが、跡地だけでどんな家だったのかは不明です。

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上の写真が服部屋敷。樫立踊りや八丈太鼓の鑑賞ができる観光スポットになっています。ただ建物は見ての通り、昔のものではありませんね。

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八丈島でお屋敷といえるような建物が多くあったのは町の中心部「大賀郷」という地域で、陣屋(代官所)があったのがこのへん。有力者のお屋敷が集中していたと聞きます。その頃の建物は残っていませんが、まるい石を積んで作られた玉石垣を今も見ることができます。この垣があるのはお金持ちの家。伊黒家も玉石垣で囲まれていた部分があったのではないかと妄想してます。

伊黒家はどういうおうちだったのか。

伊黒」という名字。私は八丈島内でこの名字の方にお会いしたことはありません。残念……!いらしたらきっとこれから観光客にモテモテだったろうな(´▽`) 八丈島で多い名字は「浅沼」「菊池」「沖山」「奥山」「山下」「小宮山」あたりです。戦国時代の武将宇喜多秀家が流されてきたことから、「浮田」というおうちもあるそうです。

伊黒さんの過去が登場する第188話、ご実家はえらくすさんだ一族だったことが自らの血への嫌悪感とともに語られます。「女ばかり生まれる家だった 男が生まれたのは三百七十年ぶりだと言われた」このへんは八丈島がむかーし「女護が島」と言われていた伝説を下敷きに、蛇鬼は八丈島の大蛇の伝説を参考に登場したのではないかと思われます。伊黒さんが流人の血筋である、みたいな話を予想してましたが流人要素は登場しませんでしたね。

伊黒さんのご実家は「強奪した金で屋敷を構え飯を喰らい する必要もない贅沢をする」「俺の一族はこの蛇鬼が人を殺して奪った金品で生計を立てていた」そうですが、この文字通りは実際の八丈島では難しかったかもしれない。というのも八丈島は長らく飢饉の島で、強奪するほどのものが土地全体にそもそも少なかったのではと。金品を持った旅人が多く通りかかるような土地柄でもないですしね。流人は金持ってないだろうし。島でお金があったおうちのご職業は漁師の親方さんだったり、大きな牛農家だったり。(鬼滅の時代、八丈島では酪農が盛んでした)このへん、作中の伊黒家とはイメージが違いますね。

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「情け島」と島の民謡「ショメ節」にも歌われ、実際住んでみてのんびりした人柄の住民が多い場所で移住もしやすい土地なんですが、一方で「島に流されてきた7人の坊主が、島民に殺されてたたりが残り……」のような昔話も存在し、きれい事ではすまなかった歴史もうかがえます。飢饉が起こるのはしょっちゅう、米作はできず、八丈富士が噴火することもありと、苦難の時代があったわけで。なので伊黒家のような闇があってもおかしくなかったろうな、と思えてきます。

鏑丸はいるのか。

いつも伊黒さんの首に巻き付き、無惨との戦いでも主の目となり最後まで戦い抜いた白蛇の鏑丸。傷付いた恋柱・甘露寺蜜璃にすり寄って涙を浮かべているところといい、蛇ながらけなげな子でした。いつ無惨の攻撃で真っ二つにされるか心臓が痛かったのですが、まさかの生存。本当によかったです。

伊黒さんが座敷牢にいた頃からの友達ということは、鏑丸も八丈島出身。自然が優勢な土地なので、八丈島に蛇はいます。

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私は実際には行き会ったことがないです。住んでいるのが住宅地域ど真ん中だからかもしれません。山の方に入れば見られるのではないかと。次に島で蛇を見かけたら鏑丸と思って……いや無理。リアル蛇は無理。でも八丈島にいる蛇は鏑丸の親戚かもしれないですよね。

八丈島で頻繁に見る野生動物はイタチ。山だけでなく住宅地にも住み着いていて、車を運転中などに細長い影が目の前をサーッと横切っていきます。外飼いの猫たちがイタチと大ゲンカして帰ってくる、などはよく聞く話。あっ猫はほんとに多いですこの島。港とか行くとごろごろしてます。悲鳴嶼さんが喜びそうです。

s-写真 - Google フォト

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蛇やイタチを撮った写真がないのでネコチャンたちで。

湿度が高い土地なので住宅の密閉性が低く、家の中には蛇ならぬヤモリやアリがコンニチハします。鏑丸のように友達に……なれるわけあるか!!!!!(殺意)(特にアリに対して)(すごいんですよアリが……)

生まれ変わった伊黒さんが、この島でいい想い出を作れますように。

原作で伊黒さんの過去の描写が1話分しかないということもあり、八丈島に「聖地」と言えるほどのスポットはないですね。

八丈島は自然も豊かで、とても美しい島です。推しキャラが自分の住んでいる土地の出身というのはすごく嬉しい。

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ですが、悲しいことに伊黒さんはずっと座敷牢に閉じ込められていて、これらの景色は全く見ていないんですよね。炎柱に助け出されてすぐに船で東京に向かったのではないかと思われますし、生い立ち的にこの島にいい想い出はまったくないでしょうし。

転生した伊黒さんがまた八丈島に生まれて、この景色の中で育って、いい想い出を作れてたらいいなあ、と思っています。

私としては伊黒さんが八丈高校から東京の大学に進学して、向こうで出会った蜜璃ちゃんを連れて里帰りして……という妄想が大変楽しいです。

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八丈空港の到着口で、飛行機に乗ってきた蜜璃ちゃんをお迎えしたりして、

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八丈島のおいしい食べ物をたらふく食べさせて、それを横で幸せそうに見ている伊黒さんとかね。(上が「一休庵」のあしたばうどん、下が「銀八」の島寿司です)(「銀八」は銀魂クラスタ仲間が遊びに来たら絶対に連れて行くお店)

今はコロナ禍で観光はおすすめできませんが、落ち着いた頃に伊黒さんの面影を求めて八丈島旅行とか、なかなかいいと思います。観光地としては地味めですけど、食べる物はおいしいし、ダイビングなど海のアクティビティもできて、いいとこです。

(記事中の写真は自分で撮影したもの、または友人撮影のものを許可をとって使用しています。)

伊黒さんが表紙ですが、まだこの時点では伊黒さんの八丈島での過去は登場せず。恐らく22巻に収録されるのでは。

この本が八丈島の概要について分かりやすくまとまっています。

記事中で引用していたのはこの作品。現代の八丈島の暮らしをエッセイ4コマ形式で描いたものです。


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