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『井手上漠フォトエッセイ normal?』について

 普段買わない本を買ってしまった。今どきの若い子はどんなことを考えてるのか興味もあり、たまには変化があってもいいかなと思った。

 イデガミバクちゃんは、戸籍と体は男性。3歳のとき純白のウエディングドレスに一目惚れし可愛いものに心ときめく。小学校5年から体育の着替えが男女別々の部屋に分かれ、周りから「気持ち悪い」と言われるのを気にし始める。長い髪を切り、普通の子になる決心をする。友達は増えても、心から楽しいことはなくなった。

 中学2年になり、母から「漠って男の子が好きなの?」と聞かれ絶句。「好きになる人に、性別は関係ないんだ」と母に告白。「漠は漠のままでいいんだよ。それが漠なんだから」と母に言われ、自分を受け入れてくれたことに感謝する。

 中学校の弁論大会、高校生になってのジュノンボーイコンテストで周囲からの応援を受け賞をもらう。

 男か女かどちらかに丸を付けなければならない時、真ん中の・に丸を付ける。男か女かの2択で多様な生き方を分類するのは無理があると考える。

 なんてさわやかな若者なんだろう。髪も顔も可愛らしく、色っぽさもある美しさに、息を飲む。

  獏ちゃんは、LGBTQのQ(Questioning)で、自分の性や好きになる対象の性が定まっていない・分からないのが今の自分に近く、今後それが続いていくかも分からないと書いている。

 normal?普通って何?という若者の問いかけに、私は答えることができない。漠ちゃん自身が、答えのない問いに向き合っていくと書いている。

  公衆トイレで男に行くか、女に行くか悩むのは、当事者でないと分からないことだ。悩むことなくトイレに行く人は、そんな悩みがあることを想像できない。まぶしい笑顔の裏にある葛藤を想像しながら、漠ちゃんの活躍を応援したい。