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奴隷の身分保障をありがたがる人たち

最近仲良くさせていただいているフランケンさんが、5分ラジオでいい話をされていた。

このnoteを書いている時点では2話まで進んでいるが、その時点でまあまあ酷いことを言っている。

この人は基本的に不都合な真実を「ほれ!ほれぇ!!ww」と眼前に突きつけて笑っている人のなので取り扱い注意である。シャバ僧にはお勧めできない。

とはいえ、内容は「まったくその通り」という他ない。

会社員は時間制で働いている。

例えば、当日の仕事が30分で終了したからといって退勤していいわけじゃない。定時までは会社にいなければならない。こんなのは当たり前だ。

それは、我々が会社と契約する際に、業務ではなく身分について契約しているからだろう。

特定業務を遂行することについて契約し、入社する人はほとんどいない。そんなことは雇用契約には記載していないはずだ。

雇用契約に記載されているのは就業場所や始業時刻・終業時刻、賃金の決定・支払いなど、自分がどのような条件で働くかが記載されているだけで、「何年何月何日までに◯◯の業務を完結させること」などとは記載されていない。

特定業務を遂行することのみを目的として契約するなら、別に雇用契約でなくても良い。業務委託契約で十分だろう。だが、それでは「社員」という身分は付与されない。ただの外注業者だ。

これから日本が向かっていくかもしれない「ジョブ型雇用」は、業務委託契約ではなく雇用契約のままで、特定業務を行わせることを前提としているのだろう。だが、これがフィットするとは考えにくい。

特定の業務がいつまであるかはわからないのだから、業務がなくなってしまえばやることはなくなる。そのときに無条件解雇ができるのなら問題ないが、雇用契約の場合そう簡単にはいかない。

ジョブ型ではなく、通常の雇用、いわゆる「メンバーシップ型雇用」は、社員としての身分を得る形態だからだ。

「身分」というとなんだか差別的な響きがあるが、こと会社員の世界において正社員という身分は、崇高なものとして捉えられている。

社員となれば、簡単に解雇することはできない。社員は労働基準法で強固に守られている。だから労働者は正社員となることを望むし、逆に経営者は安易に雇用することができない。

一方で、社員の権利が強力な代わりに、裁量が極めて制限されている。

例えば、転勤だ。

就業規則には異動や転勤について明記されており、雇用契約を締結した以上、就業規則にも同意したことになるため、原則的に拒否はできない。

誰とどこで働くかは、安心安全な生活に強く影響するはずで、それを自由に選択(または拒否)できないのは深刻な権利の侵害だが、簡単に解雇されないメリットをもって相殺されている。

われわれ会社員は、会社に対し従順なメンバーとして生きることと引き換えに、会社員という身分保障を得ている。

でれば、重要なのは「メンバーであること」であり、「どんな仕事をするか?」ではない。


同じ時間を、同じ会社の枠組みの中で一緒に過ごす。仕事が終わったかどうかなど関係ない。

それが、メンバーであることの条件だ。感覚的にも理解できるだろう。

なぜ理解できるか?

それは、もう体験しているからだ。

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