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【散文】 無難に生きてきた40代会社員が突きつけられる3つの選択

僕の少し下の後輩が会社を辞めると聞いたのは今週の月曜日のことだった。


僕がデスクに戻ってくると、部下と他の部署の課長が何やら談笑していた。何かあったのかと聞いてみると、その話だったというわけだ。

誰かの退職について談笑するのもどうかと思うが、まあその課長はクソ野郎なので仕方がない。そんなことより辞めるのがA君だということに少し驚いた。

A君は40歳を超えており、もう中盤に差し掛かるはずだ。役職は支店のナンバー2のポジションで、支店長・課長クラスの一個手前だ。

そんなに仕事ができる印象はない。でも、できなくもない、まあ普通の社員だ。

一緒に働いたことはないが、その仕事ぶりは聞いていたし、なにより彼と話していても、言われたこと以上をやってやろうと言う気が全くない。必要最低限だけやれば良いでしょ?といった感じの成長に背を向けた、斜に構えたところがある社員だった。

仕事に対して、賢いふりをして斜に構えてカッコつける気持ちはわかるが、それが許されるのは入社3年目くらいまでで、アラサー以降もそんな姿勢でいるのは国宝級のバカなのだが、それをずっと続けてしまうクラスタがあった。彼はそこから出てこなかった。

無気力を装うことで、自分の能力のなさを糊塗しようという幼稚な姿勢。

「俺まだ本気出してないから」との姿勢を続けるうちに、何の差別化も図れていない仕事ぶりが身体化してしまっていた。

そんな彼だから、40歳を超えて転職に成功できたのはまあ良かったよなと思った。3月に退職するらしいから4月からは新天地だろう。

と、思っていたら、新情報が入ってきた。

なんと、転職先は決まっていなかったのだ。

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