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#20 会社員の人生は、定期預金である

どの書籍かは忘れてしまったけど、僕の好きな作家である橘玲氏がこのようなことを言っていた。

「会社員の人生は、定期預金である」

これは極めて重要な概念だと思うので、解説していきたい。


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会社員、というか誰であっても人的資本というものを持っている。

人的資本とは、自分が持っている有形無形のさまざまなものの価値の総量と思ってもらえばいい。

例えば学歴などはその代表格だ。

国立大学や有名私大を卒業すれば「○○大卒」との資産を手に入れることができる。国家資格なども同じだろう。それは難関であればあるほど資産価値が高いとされる。

また、運動能力も人的資本と言える。

甲子園で活躍すればプロ野球のドラフトにかかり、多額の契約金が支払われる。まさに人的資本に値段がついた瞬間だ。

人は人生において様々な経験と実績を積み上げ、自分の価値を増加させている。逆に犯罪を犯してしまえば誰も関係を持とうと思わないから、人的資本は実質的にゼロになる。

積み上げた人的資本は、積み上げるだけでは意味がない。いくら弁護士資格を持っていても弁護士事務所で働いたり開業しない限り収入は発生しないだろう。

人的資本は、運用しなければ何も生み出さない。これは現金と同じ性質と言える。

たとえ現金で1億円持っていたとしても、運用しなければ1円も増えない。タンスにしまっておいた1億円が1円を生み出していたとしたら、これは怪奇現象だ。どれだけ現金があっても運用しなければ増えることはない。(為替変動は無視してます)

人的資本も同じだ。運用しなければ増えていかない。それどころか、現金と違ってそのものを支払いに使うことはできないから、使い勝手はこちらの方が悪い。

現金はそのままでも交換手段として使えるが、人的資本は運用して現金を獲得しないと支払いに使えない分、やっかいな資産であると言える。


そして、僕たち社会人は、みんなほぼ同じ形で人的資本を運用している。


そう、僕たちは会社に人的資本を預けて運用している。

というか、会社に運用を丸投げしている。


この前提から、話を進めていこう。


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有名大学を卒業し、有名企業に入る。そうすると、高収入になる。

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