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旅行記 / 富山・高山 冬の絶景と味覚を満喫する (2022/01)

冬の富山と飛騨高山を、目で舌で味わいました。


一年前の大雪の思い出が蘇る富山県。当時計画していた旅程をほとんどそのまま引き継ぎ、今回こそは氷見寒ブリ飛騨牛を絶対に食べるぞという固い意志を持って臨みました。そして行ってみると、思いもよらぬ美しい景色も待っていたのでした…。

何に乗って、どこへ行ったか

● 主なJR路線:城端線、氷見線、高山本線、東海道本線
● 主な私鉄路線:富山地方鉄道、あいの風とやま鉄道
● 主に行った場所:雨晴海岸、魚市場食堂、まんがロード、ひみ番屋街、高山の古い町並、下呂温泉
● バランス:[観光] ・・★・・[鉄道]

◆Day 1◆ 富山の路面電車を乗り回す

前回富山に来た時と同じ夜行バスでスタート。初めての1A席(最前列左側)でしたが足元が広くて快適でした。

まずは富山地方鉄道で南富山まで行きました。写真は始発駅の電鉄富山から一駅先の稲荷町駅ホームの写真です。この木造の感じがなかなか懐かしさを醸し出しています。

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朝早くの地鉄車内はガラガラでした。南富山で路面電車に乗り換えます。冬なので6時半でもまだまだ暗かったです。

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富山大学前電停の手前には、記事執筆時点で日本一長い駅名として有名な「トヨタモビリティ富山 Gスクエア五福前(五福末広町)」電停が。駅名に括弧書きも入っていてさらに長い印象です。どうしてこうなった。

越中の小京都・城端と観光列車「べるもんた」

富山港線以外の路面電車の乗りつぶしを終えて高岡に移動しました。高岡で城端線(じょうはなせん)に乗り換えて、チューリップで有名な砺波平野を縦断します。

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高岡駅と新高岡駅の間で、前年の豪雪の時に歩いて通った道が車窓から見えました。雪が少ないと景色が全く違っていて何か感動しました。沿線は案外民家も多めです。1時間ほどで城端に到着。

終点の城端で小一時間、周辺を散策してみました。越中の小京都たる城端は雰囲気が良かったです。よく晴れた色鮮やかな青空と、落ち着いた色合いの寺院や神社の対比が良いですね。それにしても、どこへ行っても「○○の小京都」がありますよね…。

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城端からの帰りは、観光列車「ベル・モンターニュ・エ・メール」、略して「べるもんた」に乗車!前年の豪雪では当然のように運休となりましたが、今回やっと乗ることができました。下の写真の左側に写っている緑色の列車です。

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2022年6月現在「べるもんた」は土曜日に城端線、日曜日に氷見線を走っています。土日でどちらの観光にも使える便利な観光列車で、車内では富山の海の幸をいただくこともできます。もちろん地酒も!

砺波平野を眺めながら北へ。車内では、こきりこ節の生演奏が突然始まって驚きました。


ただ、観光列車にしては時間的にちょっと短いように思います。食事をするのも少し忙しないかも。氷見線の方はもっと短そう。観光列車であればもうしばらく長く乗って、遠くまで行きたいと思いました。

それでは高岡から富山に戻りましょう。

地鉄で青空の立山の麓まで

前年11月に来た時は宇奈月温泉まで本線を乗り通した富山地方鉄道。今回は不二越・上滝線を経由して立山方面へ乗ってみることにしました。ちなみにこの日の朝に南富山まで行ったのも、この不二越・上滝線です。

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さて、富山湾の絶景ポイントの一つに雨晴(あまはらし)海岸があります。日本海と3,000メートル級の山々を一度に拝める場所で、Googleで画像検索すると綺麗な写真がわんさか出てきます。

下の何枚かの写真から分かる通り、この日は昼から雲一つない青空が続いて雨晴海岸の絶好の撮影日和でした。これは選択ミスか…?とちょっと残念な気分になりつつもその分、立山の麓まで行って楽しむことにしました。

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岩峅寺(いわくらじ)から先は本格的に山の方へ入っていき、どんどん標高アップ。雪景色が良い感じです。線路の周辺は凍っていて、そのためか途中徐行する区間も多かったです。

終点の立山駅では1メートルぐらいの積雪でした。使用されていない線路は全く除雪されておらず、雪に埋まっていました。ホームにもしっかりと雪が積もっています。

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折り返しの列車まで30分待つ間に駅周辺を散策しつつ、どうにも雨晴海岸を捨てきれず見に行きたい気持ちが高まっていきます。珍しい冬の快晴の日にせっかく来たのに、行かないのはもったいない。

ということで急遽この後の予定を変更し、行ってみることにしました。日没直前になる計算ですが、ギリギリ間に合いそうです。あとは一か八か!


そうと決めたらあとは行動するのみ、立山から地鉄の最後の未乗区間である岩峅寺~寺田を通って富山に戻りました。気持ちは逸っても乗り鉄は欠かしません。地鉄(路面電車以外)も無事に全線制覇です。

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車窓から見える立山連峰、これは期待大。こんな感じで青空に映える写真はわりとよく見かけますが、夕暮れ時の写真はあまり見たことがありません。雨晴海岸でどんな景色を見ることができるのかひたすら楽しみでした。

ちなみに当然ですがお昼の雨晴海岸も圧倒的なものだったそうです。それも生で見てみたかったなあ。また今度リベンジに行きましょう。ただし天候がすべて。強運力を鍛えておきます。

富山湾の本気、夕暮れの雨晴海岸と立山連峰

それでは氷見線に乗りましょう。日没が迫っているので、1分でも早く発車してほしい気分です。そわそわ!途中で遅延が発生しないことだけを祈って乗り込みました。

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海岸に出ると…見てくださいこの夕焼け空の色!夕方になってもまだ抜群の眺め。辛うじて間に合いました。車窓からこれを見られる氷見線、羨ましい限りです。

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雨晴駅で降りて左側へ小走り。大きな通りに出て踏切を渡れば、有名な撮影ポイントに到着です。


人類よ、これが富山湾の本気だ。美しい…!あまりの美しさに呆気に取られながら無意識のうちにシャッターを切りまくっていたと思います。

雨晴海岸は大勢の人出で賑わっていました。日が沈んでからは皆さん帰途に就かれていたのですが、それから少しの間はくっきりと立山の稜線が見えるようになって、また別の美しさがありましたよ!上のTweetのツリーにその写真を載せていますのでぜひご覧ください。

後ろを振り向けば氷見線の列車が通過していったのでとりあえずパシャリ。寒ブリも飛騨牛もまだ口にしていませんが、ここまでで既に大満足です。

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ちなみに近くには道の駅があり、そこの屋上テラスからでもよく見えるそうです。ライトアップされて幻想的な雰囲気でした。

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さて、雨晴駅から終点の氷見駅まで乗ってこの日の移動はおしまい。夕食は「おがわ」にてブリ刺し&白エビ天&氷見うどんの欲張りセット!

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ブリ刺しは脂がよく乗ってて美味しい!白エビ天はサクサク、氷見うどんはおつゆにつけてつるつるっと…。目も舌も幸せな一日です。

氷見は漫画家・藤子不二雄Ⓐ先生の出身地ということで、忍者ハットリくんなどの有名キャラはもちろん、氷見オリジナルキャラもいるようです。私の通った地下道には氷見にまつわる魚介類たちをモチーフにした「ブリンス」「イカゾウ」といったキャラのパネルが飾られていました。

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なお氷見駅周辺にはシティホテルの類が特にないため、列車で旅行する場合にはお宿選びは慎重に。

◆Day 2◆ 朝から氷見寒ブリをいただく

この日は気合の5時半起き。早起きして何をするのかというと、海岸にある「魚市場食堂」に朝御飯を食べに行くのです。漁港直結の御飯処で、新鮮な海の幸をいただける場所です。

開店時刻である6時半にぴったり到着!…ですが、既に15組ほどの待ちがありました。やられた。

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幸い空席がありすぐに着席できたものの、寒ブリ丼を注文してから30分ほど待ち時間がありました。楽しみでまだかまだかとそわそわしながら待機。

そして満を持して登場したのがこちら。何やこれは!

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脂の乗ったトロトロのブリが最高です。早起きして来た甲斐がありました。調子に乗ってご飯を大盛にしたところ、一合ぐらいありそうな勢いで朝から満腹に。富山湾の宝石たる白エビのお刺身もいただきました。

上の方に写っているのは漁師汁です。メニューに漁師汁付きとは書いてありましたが、まさかこんなボリュームで来るとは思いませんでした。土鍋…?底の方には巨大つみれが二つも入っています。こちらももちろん美味しい。


ブリ丼以外にも、ブリしゃぶとかブリかま焼きとかもあります。これも今度食べに来たい。いや、でもブリ丼もまた食べたい。…どうしよ。次に来る時までにしっかり悩んでおきます。

大雨の中で氷見の街を歩く

満腹になったところでさあ街歩きスタート!…すると雨が降ってきました。ちょっとテンションが下がります。北陸の冬はなかなか晴れませんね。前の日の天気が嘘のよう。

Day 1 でも書いた通り、氷見は藤子不二雄Ⓐ先生の出身地。氷見駅近くには「まんがロード」があり、忍者ハットリくんをはじめ様々なキャラクターに出会うことができます。

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歩いていると喪黒福造が座っているベンチを発見。横に座ったら名刺を差し出されそうな感じがします。私もココロのスキマを埋めてもらおうかしら。

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アーケードの庇にも随所にキャラクターのステッカーが貼ってありました。昨夜見た「ブリンス」たちも立体になって登場です。近くを通るとボイスが流れるんですよ!

次第に大雨になってきました。全身ボトボトになりつつひみ番屋街に到着。ここで少し早めのお昼にしちゃいましょう。

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半回転寿司のような店内でブリの炙りと青魚3種をいただきました。ネタが大きくて美味しかったです!これでもかとブリを食べた二日間で、前年分も取り返した気分。目的のうちの一つを完璧に達成しました。

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ただ、順番待ちで座っているお客さんとの距離がかなり近いカウンター席で食べていて、何となくあまり落ち着けませんでした。変にその辺を気にしてしまう人間なのです。

前日はあれほど美しかった雨晴海岸もこの日はドン曇りでした。氷見線の「べるもんた」は予約開始日にすぐに満席になって取れなかったのですが、前日の風景はしっかり見られたので結果的に良かったのかもしれません。

元ライトレールの富山港線と高山本線

高岡を経由して富山に戻り、地鉄の路面電車のうちまだ乗っていない富山港線へ。富山港線はかつてJRから富山ライトレールに移管された路線ですが、2020年に地鉄に移管されて、既存の地鉄軌道と富山駅の下で線路がつながりました。これで一体的な運転が可能になって格段に便利になったとか。

奥田中学校前から専用軌道に入りました。そこそこ直線でスピードも出して驚き。終点の岩瀬浜に到着して地鉄の路面電車も乗りつぶし完了です。

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岩瀬浜から折り返して富山に戻りました。ここからはJRに乗って高山方面へ南下していきます。

富山から高山本線の猪谷行きに乗車。やって来た列車はJR西日本のローカル線でおなじみのキハ120です。西は山口から東は新潟まで、各地のローカル線で活躍しています。

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富山駅を出てしばらくは住宅地と田畑が断続的に続いていました。

車内から前方に目をやると、雪を被った山並みが綺麗に見えました!写真は千里駅にて、交換待ちのタイミングでの一枚。

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越中八尾からどんどん標高を上げていき、楡原付近まで来ると雪がまだまだ残っていて、除雪も特にされていない様子でした。ボリューム感のある雪が待っています。

乗った列車の終着駅である猪谷に到着してホームに降り立ったときに一つの達成感がありました。これでJR西日本の路線全線制覇なのです!やったぜ。

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猪谷から南側はJR東海の区間になります。ワンマン列車でしたが車内設備の故障のため、乗務員さんが同乗して集札を行っていました。

空席が多くどこでも座り放題で、私は進行方向左側に座ってみました。曇り空のもと山々の雪景色(と並走する川)がひたすら続いて、見ていても飽きません。こういう景色が好きな方はぜひ冬の高山本線へ!

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ちなみに私はこういう景色が大好きなので、また乗りに来たいと思っております。特急ひだ号で前面展望をするのも楽しそう。

次第に標高を下げて、雪の量も少なくなってきたところで終点の高山に到着しました。

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どことなく新装された桑名駅みたいな雰囲気です。ぜひ画像検索で見比べてみてください。

高山の夜の古い町並を歩く

高山の散策に出掛けます。写真のアーケード通りにはいろいろなお店が立ち並んでいて、このご時世では憚られますが食べ歩きもできそうな感じです。

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だんだん暗くなっていきます。暖色系の灯りが柔らかくて良いですね。雪が積もっているのがなお良し。

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古い町並でこういう風景を実際に見てみたかったんですよ!高山には過去に2回来たことがあるのですが、冬に来るのは初めてでこれが楽しみだったのです。個人的には道にもう少し雪が残っていればパーフェクトでした。

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歩いていると虎の雪像がお出迎え、ちょっとびっくり。寅年だからでしょうか。

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散策から戻ったらお待ちかね、飛騨牛ステーキのご登場です!そこそこ量があって嬉しい。そして旨い。第二の目的も達成して大満足です。

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なお、なぜか数の子まで付いていました。

この日はバチが当たりそうなほど贅沢にいろいろ食べました。たまには良いでしょう。神様、大目に見てください。

◆Day 3◆ 高山で地酒と朝ラーメン

朝には霧がかかっていて、夜とはまた違う雰囲気を楽しめました。朝御飯を食べて朝の街歩きに出掛けます。

まずは山車(さんしゃ)でお土産に地酒を一つ。アベリアの花酵母を使った純米吟醸酒にしました。試飲させていただくと、口に含んだ瞬間はあっさりなのですが、後から香りがフワッと広がってしばらく残る感じにびっくり。あまり飲んだことのないタイプの日本酒でした。美味しかったです!

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徐々に晴れてきて青空が広がりました!雪の白さとのコントラストがとても良い。

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小腹が空いてきたので、「高峰」にてモーニングラーメンセットと唐揚げを注文。正統派の中華そばと台湾風味の揚げたて唐揚げが美味しかったです。さっきお宿で朝御飯食べてたよね?というツッコミはナシです。

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それでは最終日の移動を開始しましょう。高山駅からスタートです。

ワイドビューひだで飛騨路を南下する

もうしばらくすると新型車両と交代するキハ85系の特急ひだ号に乗車。高山から4両が増結されました。

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そんなつもりはなかったのですが、運転席の後ろの席をゲットできました!これは思いがけぬ幸運。存分に前面展望を楽しむことにしました。ちなみに高山から岐阜方面の特急ひだ号では先頭車両が自由席のようです。

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車窓から見えるのは一面の雪景色。前面展望も抜群の眺めです。

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飛騨小坂駅の辺りまで下りてくると、雪はまばらになっていました。さらに南へ進むともう雪はどこにも見当たりません。ちょっと残念。

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進行方向左側にたくさんの建物が見えてきました。この川を渡ったらすぐに到着する下呂駅で下車しましょう。

旅の〆は下呂温泉へ

それでは最後の目的地、下呂温泉を歩きます。デカい看板がお出迎え。

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温泉街へ行くには駅を出て地下道を通る必要があります。地下道を出てから駅のホームを見ると、停まっている列車の足回り(車輪などのことです)がよく見えます。好きな方ならここだけで時間を潰せるかも?

続いて橋を渡って温泉街へ。夕方や夜に来たら良い味を醸し出していそうな街灯もありました。何回か書いているかと思いますが、暖色系の灯りで照らされている温泉街、という風景にとても心を打たれます。

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坂を上った所にある共同浴場、白鷺の湯に入ってみました。レトロな建物で浴場もシンプル。日々の喧騒を忘れて落ち着くひととき。現実に帰る時間が徐々に迫ってきていることも忘れたい。

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コンビニ前のネコチャンみたいにずっとダラダラしときたい。

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間に合いそうだったので一本早い列車で帰ろうかとも思いましたが、急いで帰ることもないかと予定通りに。列車を待つ間に、下呂温泉合掌村に行ってみることにしました。

合掌造りの集落といえば同じ岐阜県内の白川郷がめちゃくちゃ有名ですね。あちらは実際に人々が住まわれている場所ですが、こちらはテーマパークのような場所です。


…つまり入場料が必要です。そこそこ良いお値段だったので入るのは止めにして、雰囲気だけでも味わおうかと外周をぐるっと回ってみました。するとどうでしょう、外から見るのも案外面白いのでは?と思ってしまいました(すみません)。山々を背景にして写真に収めると何だかそれっぽいです。

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それでは下呂温泉にも別れを告げて帰途に就きましょう。岐阜方面に向かう特急ひだ号は、指定席もグリーン車も満席とのこと。私はケチって自由席にしましたがもちろんこちらも大混雑。さすがは三連休の最終日です。

岐阜で乗り換えて、あとは東海道本線をひたすら西に進みます。大垣周辺で夕暮れ時の美しい色合いの空にも出会えました。雨晴海岸のあの景色を見て以来、私の中の夕焼けセンサーが敏感に働くようになりました。無事に帰宅して今回もおしまい。

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今回は2日目の氷見以外ではほとんどずっと快晴で、天気に恵まれてとても良かったです。寒ブリ&飛騨牛を食べて、見たかった景色も生で見ることができて言うことなし!現実に戻るのが嫌になってしまうほど満足しました。まあ毎回嫌ですけどね…。また同じような旅程で行ってみたいかも。

次は、真冬の津軽と秋田に行った話を書きます。

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