違法の健康 /毎週ショートショートnote

「カルピスおいしい！」
弟に褒められて雄太は得意げだ。
「ママのより濃く作ったんだ。この方が美味しいし、栄養も沢山なんだって。」
二人ともあっという間に飲み干した。
「どうしてママは濃く作らないんだろう。」
「違法だからなんだって。」
「いほうって何？」
友達のカズ君がそう言ってたけれど本当は悠太にもよく分からなかった。
「うーんと、警察に捕まっちゃうやつ。」
弟はビックリしてポロポロと泣き出した。
「うわーん、いやだぁ！」
「わっ、何だよ、泣くなよ。」
すぐにママが飛んでくる。
「どうしたの？」
ママは弟をぎゅっと抱きしめながら聞いた。
「カルピスたくさん入れたら、違法で警察に捕まるって兄ちゃんが。」
ママはテーブルの上のカルピス原液を手に取った。軽い。
「大丈夫。カルピス飲み過ぎても警察に捕まらないよ。けど…。」
涙目の弟と雄太は並んでママを見た。
「入れ過ぎ！ほとんど原液じゃないの！」
幼い兄弟は警察より怒ったママの方が怖かった。

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