ビール傘 / 毎週ショートショートnote

とうとう魔王の間に辿り着いた。ゴクリと唾を飲み込み扉を開ける。奥に大男が座っていた。
「魔王、覚悟!」
伝説のビール傘を振り上げる。と、ビール傘の先端から黄金色の液体が魔王めがけて吹き出した。魔王は避ける間も無く、液体は口の中へ。
「ゴボボッ…うまっ」
魔王の顔は赤くなり、目も虚、さすが伝説のビール傘!もう一息だ!と思っていると魔王が立ち上がり向かってきた。傘を差して防御も出来ずビール傘は魔王に奪われてしまった。
「お前も飲め!」
魔王は力づくで勇者達の口に傘の先端を向けた。
勇者は倒れた。
賢者は踊り子に愚痴を言い出した。
武闘家は踊り出した。
踊り子は賢者を殴った。
盗賊は隙を見て逃げ出した。

「全滅するとは情けない。」
神父様の声で目を覚ますと横には全裸の武闘家と顔が腫れて鼻血の跡がある僧侶が眠っていた。一体何があったのか…踊り子と盗賊はどうしたのか…ダメだ。頭がガンガン痛くて思い出せない。やはり昭和の魔王は恐ろしい。



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