結婚式ゾンビ③ / 毎週ショートショートnote

車は突然スーッと滑りブレーキが効かない。慌ててハンドルを切るとクルクルと回り、そのまま雪野原へと吹っ飛んだ。
「痛てて…。」
横転した車からなんとか這い出す。どうしよう。新婦が事故で欠席、なんて有り得ない。
とにかく急ごう。彼が待ってる。
私はひっくり返った車を捨てて滑るように走った。急いでいるのに吹雪でタクシーも通らない。
持ち前の根性だけで走り抜き、かなり遅れたけれど式場にたどり着いた。
驚いた顔をしている参列者の間を通り抜け、チャペルの近くに立ち尽くしている彼を見つけて駆け寄る。
あぁ、お待たせ。遅れたけど、大丈夫。すぐに着替えて…
彼は悲鳴をあげながら逃げ出した。
「うわぁ、ゾンビ！来るなっ。」
血だらけの私から彼は逃げていくー。

「来るな、じゃなく大丈夫？だよね。あんな薄情な男と結婚しなくて本当に良かった。やっぱり愛より金だわ。」
先輩の過去こそ結婚式ゾンビだと思ったけど、黙っておこう。

決して先週のお題「プロのバナナ」が難しすぎた反動で３本書いたんじゃないんですよ。決して。

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