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読み聞かせリスト・3年生 (分数を学んでも、分割できないものがある)

3年生。算数で分数を学びます。同時に、世の中には分割できないものがたくさんあることに気づきはじめる時期ではないでしょうか。

夏のねこ

ハワード・ノッツ著 前沢明枝訳 徳間書店刊

りんごの木の枝に三毛猫がのぼっているのを見つけた姉と弟。
弟のベンは、ねこのことが一目で好きになり、可愛がるようになります。
ねこは、”りんごひめ”と名付けられ、ふたりに懐いてくれましたが、時々いなくなります。
ベンが追っていくと、りんごひめは実は、森の向こう側の家で、夏の間だけ滞在するおばあさんが飼っているねこなのだとわかります。
夏が過ぎると、おばあさんはねこと一緒に町に帰ります。ベンはずっとりんごひめと一緒にいたいと願いますが…

教室で読み聞かせしたところ、子供たちも自分ならどうしよう、と主人公の気持ちに寄り添って悩んでいるようでした。絵本ではなく、大きな文字の読み物なので、2回に分けて読みました。
夏のねこ、とありますが、夏のまぶしい光を思い出しながら、冬に読んだ方がよいと思います。

ともだちのしるしだよ 


カレン・リン・ウィリアムズ、カードラ・モハメッド作 ダグ・チェイカ絵  小林葵訳 岩崎書店刊
主人公のリナは、アフガニスタンからパキスタンの難民キャンプに逃げてきました。救援物資のなかで、片方だけのサンダルを見つけます。
リナはずいぶん長い間、靴を履いていませんでした。片方だけのサンダルを履くことにします。しばらくしてもう片方のサンダルを履いていたフェローザと出会います。
両足揃ったサンダルを1としたら、片方を2分の1、0.5と算数で表すことができても、ふたりのための答えを探すことは難しいでしょう。

ところがフェローザはサンダルを1日づつ交替で履くことを提案するのです。毎日会ううちに、ふたりの友情が育まれていきます。

リナがアメリカへ渡ることが決まったときに、フェローザがとった行動が印象に残ります。高学年にもおすすめします。


”丸いケーキを4人で分けました”
算数の教科書ではきれいに答えが見つかるけれども、
分けることができないこと、すぐに答えが浮かばないお話は、子供たちの心のなかに残ります。
手放したくないけど、相手も同じように大切に思っているのではないか、そんな気持ちに気づけるようになるにつれて、相手を思いやる時間が増えてくるのではないでしょうか。



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