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ミニチュアのバトンはここから、その翼で凛と吟遊詩人


今宵は詩でも。Twitterでご活躍されている言葉の添え木様が毎日出されているお題を頂き、作った詩5編と、オリジナルお題の詩1編をお送りいたします。

言葉の添え木様の想像力を掻き立てる、遊び心のあるお題に、いつも助けられております。詩をやってみたいけれど、テーマが思いつかないという方は、ぜひぜひ言葉の添え木様の企画に参加してみてください~(*´▽`*)




春雨、凛と降る三寒四温


笑顔は瞬く間に泣き顔に

寂しいとぽつり、ぽつり

振り向いたらもう笑ってる


危うい春空抱えた君よ

凍えながらも溶けるように笑う君よ

愛しい春よ



その翼で

透明な君の背には無限の翼

その翼で

君は今、赤い空を散歩してる

夜には、宇宙と空の間まで飛んで

地球の輪郭を眺める


明日の朝には、星のクッションの上で眠って

明日の夜には、優しく灯る月へ出発

その翼で

どこまでも



バトン

昔々、遥かな未来の大爆発からバトン

いつ始まったのか いつ終わるのか

ぐるぐる考えながら

慌ただしく走って

はい、と受け取って

はい、と渡す

まだ見ぬ君へ

はい、バトン



吟遊詩人

その人が吟えば

鳩も猫もカエルも人も

ぼうっと耳を澄ませる


その人が奏でれば

うっとり、こっくり

安らぎの風が吹いて


その人が口をつぐむと

あらゆる人の口から

閉じられていた言葉がぽつぽつと


その人は

吟遊詩人

焚き火のように

暖める人



ここから

開かれない絵巻物の中で

暗闇パレード

兎が蛙が ぴょこんこぴょこんこ

えんやこら


パレードの始まりは

どこから?ここから?

しゅるしゅるしゅると

和紙は続くよ永遠に



誰かしゅるりと巻物を

開いて光をくれないか



ミニチュア(オリジナルお題)

バケツの水に浮かんでいた

ミニチュアの舟に

乗ってしまいたくて

乗ってしまった


ごうごう嵐に煽られて

ぐらぐら揺れて

船酔いには慣れない

時々、怖くて寒くてたまらなくて

帰ってしまいたくなるのに


くわぅくわぅと鳴く渡り鳥

時々、善き隣人になってくれる海亀

どこかの島から流れてくるアダンの実

古い瓶詰の手紙

時々、見かける同じ舟

東に西に光を届ける太陽

良く晴れた夜空の壮大なプラネタリウム

毎夜、夢に出てくるホワイトホール

引き留められて

どうしても帰れない

帰れない


バケツの海はどこまで続くの

ミニチュアの舟はいつ壊れてしまうの

いつも、不安のままにオールを漕ぐ



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