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ロケットの歩き方

マイアミのオキアミ。ふふふ。

先月の4月21日に、朗読会『audio magazine臨時増刊号「卯月のプリン」~プリンまみれの夜~』を、ちゃも月さんのスペースで開催しました。その朗読会に投稿した詩1編と、言葉の添え木様のお題をお借りして作った詩4編、オリジナルお題の詩1編をセットにしてお送りいたします。

「卯月のプリン」のアーカイブは、私のTwitterアカウントの固定ツイートからも聴けます。私の思いつき企画に快くトゥギャザーしてくださったお三方の素敵な朗読を、ぜひお楽しみください!



Drop

アルミの空き缶を投げられて 
言うべき言葉を落とした 

軽い言葉ほど響くのは 

重い言葉が沈んで消えてしまうのは 

時空と重力のせい 

これからの言葉は 

スチールの空き缶にしたい 

あるべき場所に落としたい 

落とすと決めるまで 

手に持っていたい 

持っていよう 



歩き方

二次元を三次元に 

一次元分の自由を運ぶ歩き方 

それは時間の歩き方 

高さの自由を知らせに 

君に降りてくる 

雨粒 

忘れてしまったよね 
歩き方を覚えた日 

忘れないよ 

君のこと 

歩き方を覚えた日は 


トラウマ

トラウマと目が合うと 

冷や汗、動悸、冷える指先 

いっそ虎になれたら 
いっそ全て忘れてしまいたい 

何度も祈った私は今、マイマイ 

マイマイは、めまいの常連 

塩気を避けて、のろのろ前進 

トラウマ退治は 

虎になれたら、ね 

きっと時間が溶かしてくれるから、ね 

ロケット

ロケットはうつむいた 

宙が海になっていたから 

地上が空になっていたから 

指示は上昇 
直感は下降 

司令官はどこにいる? 

このままでは海に飛び込んでしまう 

このままでは 

90度、方向転換、あともう90度 

そして、もう30度 

空でも宙でもない場所が 

目的地 


朗読会「卯月のプリン」投稿作品

満月みたいな 

特大プリン 

百人で食べたいな 

ぷかぷか浮かぶ特大プリン 

有り余るほどの黄金色 

百億人とだって食べられる 

さぁさぁ、皆さん、スプーンを拝借 

いただきます 



宙立ちゅうりつプラタナス高校(オリジナルお題)

いつか通いたい

宙立ちゅうりつプラタナス高校

校歌にはコル・カロリやらスピカやら
春のダイヤモンドの星が登場

ああ、きっと校舎は

大輪のヒスイカズラの水色と
タマリュウの果実の瑠璃色で

目が眩むほど青いのです

ああ、きっと教室中

世界中の言語が弾けていて
世界中の制服が楽しく着崩されていて

ああ、きっと広い広い校庭や体育館や屋上では

群れも孤独も当たり前で

ボールがふわふわ滞空しちゃって

宙の青く小さな星に

眼差しを送る高校生


未来で初めての入学式

その時、人間は何歳だろう

その時、私は何者だろう

いつか通いたい

宙立ちゅうりつプラタナス高校



お気に入りいただけましたら、よろしくお願いいたします。作品で還元できるように精進いたします。