うつのおかあさん-21 職場でのこと

 
 
 
新年、親と同じ年齢の同僚を、ハラスメント通報しました。
時に会社はハラスメント撲滅に力を入れていて、私もたくさんのハラスメント例の動画を見せられ、通報先の外部機関の電話番号もすぐに分かる状態になっていました。

事は年末、12/27のツイートを参照すると、うつ病の私がいる横で加害者がBさんに「うつ病みたいな顔してればたくさん休めるもんね、私もやろうかな」と話したところから始まります。
前から「それうつ病の人に絶対言っちゃいけないセリフですよね?」っていうことを定期的に言ってくる人で、私はその度に体調を崩してきました。
でも今回の言葉はもうだめでした。その時は急いで倉庫に逃げて、日時記録のためにツイートして、過呼吸になりかけながらうずくまっていました。
もう、許せません。
だってこれは度を超えている。
同席していたBさんに聞き間違いではなかったと確認してから、会社直通の外部機関へハラスメント報告をしました。
私は殺された自分の心を救うために、加害者を社会的に殺すことにしました。
自分が死ぬか相手を殺すか、で悩んで、死にたくないと思ったので正式な手順を踏んで殺すことにしました。


機関からは翌日に本社人事課へ報告がされました。それから現地担当者が所長に決まり、私との面談がされました。
もう声に出すのも嫌だったので、10年間言われて嫌だったこと、今件の証拠含め今後の希望についてまでを全てまとめてPDFで印刷して渡しました。
会社側としては、「間違いなくハラスメント」とお墨付きのようなものをもらいました。
そして未来の私が苦しまないよう「加害者本人に今件を伝えることについては会社に一任します。その上で加害者本人から謝罪の意向がある場合は受けます。ただその結果加害者本人が会社に居づらくなるなどのことについては一切の責任を負いません」までしっかり書きました。
上記書面は所長を通して人事課へも伝わっています。

そうして所長から加害者へ今件が伝えられ、加害者からは私への謝罪の意向があるそうです。仕事の手が空いた時にその場を設けるから声を掛けて、と言われました。
もしかしたら明日がその日になるかもしれません。
私は今それが、怖くてたまりません。
だって、それはトラウマになっても仕方がないくらいのそれを目の前にもう一度突きつけられて思い出すということ。高ストレス状態に間違いないのです。
加害者が視界に入ったり声が聞こえるだけで動悸・目眩・過呼吸が起こる日々を過ごしてきたのです。

それに、謝られて?許せる?そんなわけありません。
私は許しません。
だってあれは間違いなくハラスメントだから。社会的倫理に反する行為だったから。
なにより私という人間が胸を割かれるような痛みを負ったから。
だから許さない。きっとあの人は数日すれば他の人に「そこまでしなくてもよくない?」とかいう人なんです、そういう人なんです。でもそうなってもいいように、周りを固めておくつもりです。
入社してから10年間、許し続けてきた全てのことがある。許されてきた加害者がいる。私はもう、殴られるだけの人生は嫌だ。


許しません。謝罪の場はただあなたにとって「謝罪をした」という事実を与えているだけだと知ってください。
私の傷は癒やされない。
今後あなたがどんな病気になっても私は一寸たりとも心配はしない。
そもそも今回の件によるストレスで体調を崩して出勤できなかった分の給与はどう保障してくれるんですか?
私の心を傷付けた慰謝料はどうするおつもりですか?
私は民事裁判を起こすことだってできる、けどしないでおいてくれているんだと理解してください。
あなたはこうしてまた日常に戻るんでしょう、軽口を叩いて人を少しずつ傷付けてまた生きていくんでしょう。その周りに傷つく人がいると知ってください。
私はあなたを、許しません。


***

そして今日、上記の文章をスマホのメモ帳に携えて、私はその日を迎えました。
予想通り所長から「仕事のきりのいいタイミングでいこう」と言われ、私は加害者を加害者として、目の前にして謝罪を受けることになりました。
震える私の前に座る加害者、所長が同席。
結果から言うと「あれが心からの謝罪とか鼻で笑うわ」という内容でした。60歳にもなって人を傷付けて、謝罪も碌にできない、なんて浅はかで、稚拙な内容かと思いました。私がエネルギーを振り絞ってこの場所までやっとたどり着いているというのに、この人はただここで言葉を並べればそれで終わりだと思っている。
私はそんな謝罪を受けて、スマホを見ながらメモ帳に入れておいた文章を読み上げました。はっきり、聞き違いの起こらないよう、加害者の非を許さないと強く言いました。

そしてその場は終わりましたが、私は震えが止まらず、呼吸も上手くできず、悔しさと憎しみに体が着いてこなくて、しばらくその場から動けませんでした。
ここまで何度も何度も悩みました。人を殴ってもいいのか。殴り返してもいいのか。
答えは分からない、多分殴っちゃだめ、でもこれは正当防衛だと思って、私は私の心と体を守るために行動したんだと。それでもハラスメント相談センターに電話をかけた後だって、ずっと苦しかった。謝罪をされたらスッキリするかもしれないと思った。
でもスッキリはしなかったです。苦しかった。だって正式な手順を踏んで殴り返しても、暖簾に腕押し、だったからです。
だから次の手順に移りました。同僚たちに、巻き込んで本当に申し訳ないのだけれど「もしあの人が『ここまでやらなくてもよくない?』的な発言をしたら教えてください」と。
殴られて、殴り返して、また殴られたら私はまた殴り返すつもりです。
これがいつまで続くかは分からない。けれど殺され続けてきた10年間の私を、私は救ってあげたい。正しい人が、弱い人が損をする世界がまかり通ってほしくない。
ただそれだけのために、私は今、動いています。

いつ、どこを終わりにするのかは決めていません。それは会社が決めることだから。

ただ、私は私のために。後悔のないように。

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