はじめての乱歩賞

考えてみれば有名な賞に出したのは電撃大賞を除いたら初めて。
芥川賞とか直木賞みたいなプロの賞以外でかなり有名なのが乱歩賞。
賞金は一千万円。
二人同時受賞だと半分の五百万円。
三人だと端数の一円は誰がもらうんだろう……。
気になる……。
授賞式で戦って最後に立っていた人がもらえるのかもしれない……。
そんなおそろしい賞が乱歩賞。
ちなみにノベル大賞は見たことも聞いたこともなかったのはここだけの秘密。

はじめての乱歩賞は二次選考落ちだった。
書評がもらえなかったのは悲しいけど他の人の書評を見て色々と考える。
そんな感じ。

まず乱歩賞の選考方法から。
初めてだったので知らなかったけど選考委員は七名。
一次選考は編集部が選考委員に渡す作品を絞る。
七名×十作で七十作。
編集部と書いてあるけど編集さんは忙しいので多分下読みさん。
つまり売れない作家や最終選考に残った人やバイトさん。
多分だけど。

二次選考は選考委員がもらった作品から三作を通す感じ。
七人×三作で二十一作。
この二十一作に選ばれると書評がもらえる。
書評は短くて厳しめ。
厳しいのはいいけど短いのは悲しい。
ただの感想の場合もある。
悲しい。

最終選考は五作。
これも毎年っぽい。
二次選考の先生達が最終選考のえらい先生達に渡す五作を選ぶ。
その中からえらい先生が受賞作を選んで投票する感じ。
えらい。

どこでもそうだけど二次と最終で選考基準は多少変わってくる。
二次はえらい先生に見せるために。
最終は賞をあげるためにある。
二次は上げても怒られない作品。
最終は賞にふさわしかったり売れそうだったりする作品が選ばれる。

書評について
二次通過の書評でよく出てくる単語がいくつかある。
キャラの造形。リアリティのある描写。説得力のある世界観。物語のテンポ。意外性。納得性。丁寧さ。
ここまでは大抵の賞で書いてあるのと同じ。
違うのがミステリーとしての出来。
ミステリー賞だから当たり前だけど自分としては新鮮だった。
ああ、ミステリー賞に出したんだなあって感じ。
嗚呼、

じゃあミステリーの出来とはなんなんだろう。
基本的なことで言えば
ハウダニット
ホワイダニット
フーダニット
この三つ。
つまり誰が、なぜ、どうやったのか
そしてそれを最終章で匠に、華麗に、なめらかに回収する手腕だと思う。
むずかしい……。

ここに意外性を入れるとさらに回収するのが大変になる。
意外を演出するために最後が力業になってしまう。
プロットだと整合性が取れているのに小説として書くと穴が見つかって、それを無理矢理塞ごうとする。
これはトッププロでもよく見る。
トッププロは知名度があるから多少は許されるけど、新人は許されない。
きびしい……。

この三つの内どこかが不完全だと最終選考には上がれないと思う。
でも書いているとこの作品はトリックに気合いを入れたからとか、キャラクターを魅せたいからとか、そういう気持ちになってどれかが疎かになってしまう。
だから見直しが大事なんだけど、ページ数とかがギリギリだと書き直しになるし、書き直しになると締め切りに間に合わない……。
そんなことがよくある。
自分だけかな……。

色々とまとめると
キャラ(特に主人公)が立っていて、鬼気迫るリアリティを描写できる文章力あり、設定が独創的だけど納得できて、物語がテンポよく進み、それらを破綻なく丁寧に書きまとめることができる筆力がある。
且つ
構成は意外性があり、犯人は思いも寄らない人物で、トリックは新鮮で現実的で納得でき、動機は理解や共感ができる作品。

前半が小説を書く上で必要な能力。
後半がミステリーを書く上で必要な能力

……………大変だなあ。

結論、ミステリーは大変!

課題
ハウダニットとフーダニット
そして可憐でステキなラスト
ステキ!


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