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ケア日記ーむずかしいひと 6月24日

こんにちは きのうはnoteを書いてちょっと元気になりました 今日は妹が通院先の病院からもどる途中で実家により、差し入れを積み込んでいきました

母は朝早くから起きだしてご飯を炊き、酢飯にして具をならべ、海苔巻きをたくさんつくりました 地元の海苔が美味しいです 母いわく、「おにぎりより海苔巻きの方が上等でしょ?」 はい、仰せの通りです

わたしはラザニアをつくりました 国産強力粉と卵をまぜ、練ってパスタをつくり、パスタ、ミートソース、じゃがいも入りホワイトソースを重ね、オーブンでグリル、庭のパセリをのせて出来あがり 一品でいろいろ楽しめます

あとはゆうべ仕込んだぬか味噌漬けと近所で買ってきたドーナツを用意して介護タクシーへの積み込みスタンバイです

今朝の母はえらくご機嫌でした 「年をとればあちこちいろいろあるのよ。結局自分なの」といいながら、ケロリとして海苔を巻いています わたしは朝から立ち働く母をみて「このひとはきっとわたしにとって世界で一番むずかしいひとなんだ」と心のなかでつぶやいていました

目の前にいるひとがだれよりも自分の一番の理解者のはずだとおもってしまうと、自分の言葉が相手に通じないことがつっかえ棒のように苦しくなります たしかに、自分の言葉が母にうまく通じないときに、なぜ通じないんだろう?わかってほしいのにと思ってしまうことがよくありました 

今朝は、この思い込みを反転させてみました 世界にひとりしかいない実の母であっても、実の母はいまのわたしにとっては世界じゅうで一番むずかしい相手だと思ってみたのです 気持ちをそんな風にひっくりかえしてしまうと、はじめから母にはなんにも通じなくていいのです ささいなことで会話がすれちがってもちっとも気になりません 

いってみれば背水の陣というわけですが、気のもちようがちょっと変わるだけであーら不思議、霧が晴れたように楽になりました

今朝、こんな風に気持ちが変わった種明かしを書いておきます わたしは幼いころからなぜかわかりませんが漫画やテレビにあまり関心をもたずに大きくなり、学生時代は哲学と法学を勉強しました ついでにいえば、サイドワークとはいえキリスト教神学やら仏教やら宗教の勉強までしてしまいました 

学校に通っていた頃、母の口癖は「あんたは勉強してなさい」でした そして、学校を卒業して以来の口癖は「あんたはむずかしい」になりました

どちらの口癖もあまり好きになれず、あんまり言わないでほしいなあと思って来たのですが、今朝突然、あとの方の口癖「あんたはむずかしい」をおもいだし、電光石火、ハッとひらめきました なにかが空から降ってきたとはこのことかもしれません(笑)

母はとっくのとうに、「あなたの言葉はわたしには通じないわよ、あなたはむずかしい」とわたしに言い続けてきたのです 理解できていなかったのはわたしの方でした ずっと以前からわたしの言葉は母に通じず、母は仕方なくわたしの言葉をフライパンで跳ね返すようにそのままシャットアウトしてきたのです

「あんたはむずかしい」という母の言葉は、母だけは世界で誰よりも自分をわかってくれるはずだという娘のひとりよがりな思い込みを母なりにこらえ、娘のひとり相撲を辛抱していた言葉だったのかもしれません

母にとってわたしがむずかしいなら、わたしにとっても母はむずかしいのじゃないかしら? 今朝、わたしたち二人はそそくさと朝食をすませ、わたしは国産強力粉と卵にほんの少しの塩を入れて練りはじめました 手元のパスタ生地をこねたり伸ばしたりしながら、炊きあがったご飯に水をしぼったタオルをかけて蒸らしている母の後ろ姿をみていたときに、ふとそんな考えが浮かんだのです 

その瞬間から、見慣れた母の後ろ姿がすっかり変わってみえました 母のひとつひとつの言葉が自然に耳に届くようになりました 母はいつもストレートにまっすぐに話しているのだとおもえました ことばのひとつひとつが流水のように胸にストンと落ちてきました 

それからはなにごともなく、母は海苔巻きをたくさんつくり、わたしはラザニアを仕上げました お茶でもいれようかと話していたら、妹をのせた介護タクシーがやってきて、差し入れを積み込みました 玄関先でひとしきりみんなで話してからタクシーはまた走っていきました

通院先の病院で、妹はどなたかに過保護だといわれたそうです なにを過保護といわれたのかはよくわかりません 車いすや松葉杖を使うリハビリの話だったかもしれません それはそうとして、ウチの母は手のかかる娘の世話をしたくてたまらない母親です 母にとってそれが幸せで、妹の邪魔にならなければ、わたしはこれからもできるかぎり母と妹をサポートしていこうとおもっています

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