【アナベル】

続いている線路の上に
過去と未来があって
景色はビュンビュン飛んで
現在はいつも不確定だ

私の弱さを許さない私に
追い詰められて今日も
淋しさを甘いミルクティーで流し込む

私の欠損を埋めるのは
過去の私と未来の私
でも埋められない奈落を
暗くて見えない底を
ただ目を凝らして立ち尽くす

伝う涙の温かさは本物だ
微かな実感に生かされている

丘の上から見た海は
白く霞んで冬の透明な光を
キラキラと纏っているだけ
そこには行けないの

黒のガッシュで
ピンクのドレスで
歴史の証人となって
私を密かに待っていた

逢えてよかった

海を望む龍の家
冷たい風が私を手招きした

気まぐれに頼んだオートクチュール
揺らいでしまいそうになる度に
背筋を伸ばす支えになった

解かない暗号は
失望を見なかった事にする

夢を夢のままに
愛を愛のままに

今夜も曖昧な夜に溶けていく