ここにいるよ(台本バージョン)
私が所属しているHEARシナリオ部で書いた作品です。
月に一度テーマを決めて、部員で作品を書き合います。
フリーで朗読・声劇で使用できる物語です。
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※この作品はフィクションです。
登場人物
◎警察官
◎男
(パトカーから降りて、 民間人から 「あそこに車が止まっているんだ」 と聞き、そちらに向かう様子で)
警察官 :
……あの車ですね?
教えてくださり、ありがとうございます。
(歩きながら、ガラス越しに身分証を見せて、
そして車の窓を覗き込む)
(止まっている車の窓叩く)
警察官 :
……すみません、長時間止まっておられるようですが
どうかなされましたー?
(パワーウィンドウ下がる)
男 :
ぁ、ぁあ
なんでもないですよ。ちょっと故障したようでして。
警察官 :
故障?
男 :
突然……動かなくなってしまって。
(挙動不審な感じの声色で。)
警察官 :
あらら、それは大変でしたねー
一応、免許証を見せてもらっていいですか?
すみませんねー
こういうルールなもので……
男 :
……(バツが悪そうに免許証を出す)
警察官 :
(免許証と男を交互に見ながら)
なぜ、ロードサービスを呼ばないんですか?
男 :
ぃや、
自分で……なんとかなるかと…
警察官 :
(呆れたように)
自分でなんとかって……
もう、ここで長時間いるようですが。
ほら
迷惑になりますし……
……レッカー呼びますね……
男 :
待てッ……
そんなもの呼ばなくていい
…あと少し待ってくれ!
警察官 :
……あなたねぇ
(突然、スマホが振動・または音を発しだす)
警察官 :
……?
男 :
(男はスマホを手に取り画面を見る
「アヤカ」と表示されている。)
アヤ…ヵ…
(男はスマホ落とし、顔が青ざめ、震える呼吸)
警察官 :
(コールし続けているスマホ。不審そうな顔をしながら)
……落としましたよ?
なぜ拾いもせず、出ないんです?
……ちょっと、失礼(スマホを取る)。
警察官 :
アヤカ?
……あれ? 切れた……
男 :
(男 震える呼吸。死にそうな顔)
ぁ、あやヵ…
あやちゃん…アヤ…
(感情が零れでた様に呼びつつ
次第に目に涙が浮かんでくる)
警察官 :
…………なんなんですか……一体……
男 :
(泣きながら)アヤカ………アャ、ごめん……
ごめ…ん
警察官 :
……アヤカって……さっきの着信の…?
警察官 :
…………
ちょっと、車内を改めさせてもらいます。
(車内を見たあと)
トランクも開けて。
男 :
(泣いている)
警察官 :
トランクを開けなさい!
男 :
…………
(男、泣きながらトランクを開けるボタンを押す。ガチャ
警察官トランクをガーッと開く。
スーツケースが入っていた。それを開けようとする。
カチャカチャ
しかし、スーツケースに鍵がかかっている。運転席に戻って)
警察官 :
スーツケースの鍵も出しなさい!!
男 :
(泣いている)
こ、こんなつもりじゃ…
警察官 :
(男が泣いていて、らちが明かないので苛立って)
早く!!(車を叩く)
男 :
…………(男が涙と鼻水をすすりながら鍵を渡す)
愛していた、愛して……
警察官 :
(警官また、後ろに行って、スーツケースを開ける。
女性の遺体が入っていた)
………………………(ため息)
(警官。運転席の方へ戻る)
警察官 :
………………彼女がアヤカさん?
男 :
(しゃくりあげている)
……はぃ(聴き取れるか微妙な位で。)
(警官。無線で連絡)
警察官 :
(ノイズ)―――― はい。カシワギです。
通報がありスタンド通りで
立ち往生していた車にいる男に職質したところ、
様子がおかしく会話にはならず。
その後、車内を調べるとスーツケースに入った女性の遺体を発見。
至急、応援願います。
場所はスタンド通り2―1。
F不動産と第5歩道橋の中間あたりです。
(無線の相手。「大丈夫か?」)
警察官 :
はい?
(無線の相手。「逃亡の恐れなどはないか?」)
逃亡も自殺も心配ありません
経験からの勘でしかありませんが。
大丈夫です。
(至急応援に向かう。待機していてくれ)
はい
……了解。
警察官 :
(ため息)……警官をしてると
ときどきあるんですよね
こういう不思議なことが……
……車が止まったのも、
さっきの妙な着信も……
アヤカさんの………あなたへの本当の想いが…
いぇ、代弁などできるわけもないですから
やめておきますか(嘆息)
…………詳しくは、署でお話を、伺います
Spesial Thanks ! 人外薙魔 様
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